農林中央金庫

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特定職職員

事務企画

いつか人生を振り返ったとき、
こういう仕事をしてきたと
言えるように。

大森 瑶子YOKO OMORI
コーポレート本部
事務企画部 JASTEM共通班
2018年入庫/理学部卒

2010年、銀行に入行し、法人営業部門に配属。都内の鉄道やメーカーを数十社担当した後、業界別に資本提携やM&Aなどの推進を担う部署に異動。同部署での仕事は刺激的で楽しかったと振り返るが、「24時間365日、電話がなる仕事を長く続けることは難しく、金融システムに従事する希望も捨てられなかった」と転職を決意。2018年、特定職として農林中央金庫に入庫し、現在はJAバンクの基幹インフラである『JASTEM』の要件定義グループにて、その任に当たる。

家庭の事情が、自分の弱みとならない職場

Q.どうして転職しようと思ったのですか?
もともと大学では数学科に在籍していたのですが、確率統計や情報系の講義も多かったこともあり、ゆくゆくはシステム関係の仕事がしたいと考えていました。鉄道系や流通系のICカードが登場して以来、キャッシュレス決済がどんどん普及していくような世の中でしたし、お金に携わるシステム、お金をツールとして不自由のない暮らしを実現するサービスを提供できたら面白いんじゃないかなと。そこで、就職活動当初は金融系のシステム会社をメインに回っていたのですが、活動を進めていくうち、要件を決めるのは製造元ではなく発注元であることを知り、そこからは金融機関に的を絞り、自分がやりたいことが実現できるのはより大きな会社と考え、規模の大きい銀行に入行しました。ただ、当時は折悪しくリーマンショック直後ということもあり、採用人数も少なく、ほぼ全員が営業部門に配属されていました。かくいう私も最初に法人営業の部署、続いて資本提携やM&Aなどの推進を担当する部署に配属されたのですが、自分のキャリアを考えたときに、次の異動先を会社がどう判断するのかすごく不安を感じるようになったのが、転職を考える大きな理由でした。
Q.前職でもシステム部門への配属については、希望を出されてはいたんですよね?
もちろん出してはいましたが、大きな組織でしたし、総合職で入行していましたので、必ずや自分の希望がかなうという確証を得られませんでした。それに転職を考える2つ目の理由として、娘の保育園がやっとの思いで決まったこともあり、その保育園を変えたくないというのもありました。転勤をともなう異動ともなれば、また一から保育園を探さなければなりませんから、生活の拠点を移すことには大きなためらいがありました。
Q.それで農林中央金庫の特定職を選ばれたわけですね?
はい。勤務地が東京に限定されていますから生活の拠点が変わる心配もないですし、何より私が当初から興味を持っていた金融システムに従事できるということで、願ったり叶ったりでした。それに入庫してうれしく感じたのは、働く女性、子育て中の職員に対する職場の理解の深さでした。転職活動時も幼い子どもがいることを知ったうえで私を採用してくれましたし、現在も、上司をはじめとする職場の人たちとの日常会話のなかで普通に家庭の話もできるので、子どもに何かあっても気軽に相談できる雰囲気があります。私の場合、2人目の子どもが保育園に入ったばかりということもあり、上司からも「お子さん、元気?」「保育園からの呼び出しはない?」と、折に触れて声をかけてもらっていますが、こうしたひと言がどれほどありがたいことか。前職では自他ともに「家庭の事情は自分の弱み」と考える風潮があり、誰もが「自分の弱みを見せてはいけない」と気を張っていましたから、今はとても働きやすいですね。

「これは誰のための仕事なのか」を意識するようになった

Q.現在は、どのようなお仕事をされているのですか?
JAバンクのオンライン情報処理システム『JASTEM』に関する業務に携わっています。このシステムは、JAバンクを「一つの金融機関」にする基幹インフラであり、全国の信連・JAが共同利用しています。私たちは「開発・修正における業務要件定義」にはじまり、「マニュアル類の制定・改廃や問合せ対応、研修の企画・実施」に加え、「障害および事故における県域との対応」、「業務・事務にかかる県域との調整」が主な仕事となります。なかでも私は、顧客管理や共通業務にかかる要件定義、照会対応を担っています。『JASTEM』は基幹インフラであると同時に、金融機関が営業するうえで絶対に止めてはいけないシステムです。それには安定稼働するため、効率的に運営するため、次の進化をするために日々、手を入れていかなければなりません。私の任務も、要件定義を通じて絶えず機能を改善、向上させていくことにより、6万人におよぶシステムユーザーの満足度向上と業務効率化を果たすことが至上命題となっています。
Q.前職とは仕事内容も大きく変わりますね?
そうですね。前職ではお客様のご意向に沿って社内と調整していくことが多く、お客様の意向を具現化することに注力していました。しかし、現業務でのお客様は系統全体であり、地域やJAごとにニーズやルールも異なるため、『JASTEM』もそうした県域ごとの事情や地域性に合わせた運用ができるよう、柔軟性のあるシステムとなっています。そのため、どのように要件定義をしていくことが、最大公約数で利用者の満足度を上げることなのかを考えることが重要であり、この点は前職と大きく異なるところと感じています。前職は「利益の追求」が第一でしたから、私もこの業務に就くにあたっては、「開発コストや運用コストを抑えることで、農林中央金庫としての利益を最大化することが目標」と考え、その認識に誤りがないか上司に確認したことがありました。すると私の意に反して、上司の答えは「No」でした。「利用者にとってより良いインフラを提供し、系統組織全体としての利益を最大化することが重要」だと。私にとってこの発言は少なからず衝撃であり、「そうか、そういう考え方もあるのか」と、仕事の仕方を見つめ直す良い機会となりました。
Q.実際、ご自身の仕事にどのような変化がありましたか?
「これは誰のための仕事なのか」ということを、強く意識するようになりました。前職は株式会社であり、株主のために最終利益を上げて株価上昇に資することが重要な業務の一つでした。だから利益を上げるために、既存の商品や手数料案件をどのようにお客様に売り込むかということから考え始めることが多く、自身の仕事がお客様を通じて誰かのためになっているのか見えづらいところがありました。対して農林中央金庫においては、JAが株主に相当し、私たちの業務は最終的にJAバンクの利用者に利益をもたらすための仕事であり、それが農林水産業の発展に繋がる構造となっているところに、働く魅力を感じています。系統の方々の満足度を上げること、業務をしやすいように『JASTEM』の要件定義をしていくことは、誰のために何をするかが見えやすく、そのことが仕事のやりがいへとつながっています。
Q.モチベーションを高く保つことができているわけですね?
そうですね。とくに農林中央金庫は、組織が置かれている状況やこれから目指すべき姿といった経営的視点を、従業員に広く開示していることがとても印象的でした。上司からも全国会議などのフィードバックが頻繁にあり、自身が組織の一員であり、組織全体の方向性に向けて何ができるのかを考える機会も増えました。結果として、目の前にある仕事が誰の何のためのものなのかを強く意識することになり、仕事への責任感も増しました。こうした環境が、モチベーションを高く保てることの背景にあると思います。

リアルチャネルを通じ、JAの枠を超えてデータを価値化する

Q.今後、どのような仕事をしていきたいと考えていますか?
私は入庫して早々、『JASTEM』にかかる問合せ業務を効率化するために開発した〈照会応答支援システム〉に関して、ベンダ選定から開発・リリースまで携わることができました。本システムは、クラウド上に検索対象情報を格納し、AIエンジンによる一括検索・照会が可能となっています。農林中央金庫の職員と系統の方々が積極的に使用してくれるようなシステムとなるよう、現在も要件定義やマニュアル作成、推進活動を進めていますが、私にとって貴重な経験となっています。先ほども触れたとおり、『JASTEM』はJAバンク6万人が使用するシステムであり、当部署には本システムに関して年間約2万件の問い合わせが寄せられています。私自身、配属当初は系統からの照会電話を受けても、何がどこにあり、どのようなことを聞かれているのかわからず、ただ担当者につなぐことしかできませんでした。しかし、本システムがリリースされてからは照会対応を自身で完結できることも増えましたし、各方面からも「とても役立っていますよ」と好評です。本システムは上司の発案により実現されたものですが、ひとつのモデルケースを実体験したことで、私もこうした事例を自分の手で生み出していきたいと思いを新たにしています。
Q.今後について、何か構想、青写真みたいなものはお持ちですか?
個人的に注目しているのが「リアルチャネル」です。現在、他行では店舗の統廃合や非対面チャネル化が進められており、もちろんJAバンクも例外ではありません。ただし、JAは地域の暮らしを支えることを存在意義としていますから、日本全国津々浦々にまで張り巡らされている店舗網がなくなることはありません。個人のお客様と対面対応するリアルチャネルが多いことは、むしろこれからの時代においてJAバンクの強みになると、私は考えています。リアルチャネルだからこそ収集できるデータは必ずありますし、それをシステムを通じて集計、分析することで、JAの枠を超えてデータを価値化することができれば、それはJAバンクの新たな収益源にもなります。『JASTEM』は、信用事業の事務負荷を軽減し、JAバンクの職員がリアルチャネルでお客様に価値ある提案や推進が行える時間を増やせるような環境を作っていくことを使命としていますが、システムそのものが価値あるデータを生み出すように進化させていけたらと、私はそう考えています。
Q.夢が膨らむお話ですね?
私、農林中央金庫なら実現できると思うんです。なぜなら、入庫して一番衝撃的だったのが、ほとんど皆が定時で帰ること(笑)。残業するには事前申請が必要ですし、有給休暇もきちんと取得するよう推奨されてます。前職では「長時間働く人=仕事のできる人」と思われていただけに、当初は皆が定時で帰る光景に目を疑いました。でも、職場の人たちの仕事ぶりを見て納得ました。効率良く仕事をするために、農林中央金庫の人たちは自分の業務範囲を固定せず、他者、他部のことを考えて範囲外にも臆せず手を広げ、仕事に伸びしろを持たせているんです。必然的にそこにチームワークが生まれ、そのひとつのアウトプットとして定時退社が実現されています。私が実感しているのは、皆が連動して働ける方向性を農林中央金庫は持っている。だからこそヴィジョンは大きく描けるし、その中で特定職は長いスパンで考えて、今の仕事を未来へつなげていくことができるということ。そして強く思うのは、いつか人生を振り返ったときに、「自分はこういう仕事をやってきたんだ」と言える仕事をしていきたいな、ということです。