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「もっと大事なことがあるんじゃないか」。
その答えは、当庫のパーパスにあった。

永友 秀憲HIDENORI NAGATOMO
食農法人営業本部
営業企画部
2018年入庫/経済学部卒

コンサルティングのような業務がやりたいと考え、業務内容も幅広い信託銀行に大学卒業後の2008年に入行。支店では新規開拓から主要企業との取引深耕まで、いろいろ勉強させてもらえたと振り返る。その後、本店で大手総合電機グループや大手非鉄金属グループなどに対するソリューション営業や、事業法人への不動産ファイナンスに従事。そして2018年、農林中央金庫に入庫。札幌支店で開拓農家、水産業者、北海道漁連グループとの取引推進に従事し、2021年より現職。

「何かが足りない」気がしてならなかった

Q.前職では、どのような仕事をしていたのですか?
信託銀行で長く営業の仕事をしていました。静岡の支店で2年半、本店に移って大手総合電機企業などに対するソリューション営業を3年半、続いて大手非鉄金属企業などに対するソリューション営業を4年弱です。そして10年目を迎えるにあたり、信託銀行の営業としての強みを何かひとつ身に付けた方がいいだろうということで、上司とも今後のキャリアについて話をするなかで、プロダクト部署を希望し事業法人への不動産ノンリコースローンの推進業務を担う部署に異動しました。転職するまでの1年ほど、それまでの自分と同じ営業担当者とペアを組んでセールスしていました。
Q.転職を考えるようになった理由は何ですか?
不動産ファイナンスの部署というのは、いわゆる営業ではなくて、営業をサポートするプロダクト部署となるわけですが、前線から少し距離を置く機会を得たことにより、自分の将来について考える良い機会となりました。そこで思ったのは、花形は「営業」だし、それ以外の動機付けとなるものは管理職、つまりは「出世」だということ。別にそれでいいと思いましたし、そのことに特段の不満を感じたわけでもありませんでした。ただ、「何かが足りない」気がしてならなかったんです。営業のときは顧客企業からの求めに応じ、コスト高で外貨調達が難しかった時期に、しのぎを削って大規模調達のアレンジしたこともありました。また、顧客企業が本社建替を行う大型プロジェクトの話を聞きつけ、建築コンサルを受託し大きな収益を上げたこともありました。こうした大規模なディール、ダイナミックな提案は、たしかにやりがいもありましたし、自信もつきました。ただ、このようなビジネスというのは追求すればするほど、必然的に取引相手も限られてくるんですよね。それを考えたときに、「このままの延長線上で仕事を続けていいのか」「もっと大事なことがあるんじゃないか」って思ったんです。
Q.転職先として、農林中央金庫を選ばれた理由は何ですか?
2人目の子どもが生まれ、子どもたちの食事の世話をしながらぼんやりと思ったんです。「こうして当たり前のように食事ができているけど、これも生産者のおかげなんだよなあ」「でも、日本の農業もいろいろ課題があるようだし、それを支える金融機関も大変だよなあ」「JAバンク、農林中央金庫か……」。ハッとしましたね。「同じ金融機関でもこんな大事な仕事をしている会社があるじゃないか」と。前職含め、市中の金融機関の多くが第一次産業に進出しないのは、利益が上げられる商売と思われていないから。言葉は悪いですけど、儲けようと思ったら相手は選ばなくてはいけないし、プロダクトアウト寄りのビッグビジネスに仕立てられた方が実入りのいい仕事になります。でも、私はそうした仕事に魅力を見いだせなかった。ビジネス規模の大小にも正直、興味はなかった。それだけに農林中央金庫について調べれば調べるほど、自分にとってはブルーオーシャンであり、私がもっとも多くを学び、今も尊敬するかつての上司の言葉と重なったんです。
Q.それは、どんな言葉だったのですか?
営利を目的とする企業においては「目先の利益を確保せよ」というのは至上命題であって、企業が生き残るうえでも大事なことですよね。前職もそうでした。ただ、その上司は事あるごとに言っていました。「プロダクトアウトではビジネスは広がらない。目先の利益を追っていてはダメなんだ。大事なことはお客様の課題が何なのかをきちんと見つけてあげること。悩みを聞きだし、サポートし、背中を押してあげる。結果、自分たちの利益につながらなくてもいいではないか。それも金融機関の大事な役割であり、お客様に必要とされ、喜んでもらえたら、それこそ銀行員の本懐というものだろう」と。その上司が本店ではなく支店にいたことも今思えば示唆に富みますが、私はこの上司の言葉を忘れたことはありませんし、それを実行している農林中央金庫に強く惹かれました。ですから私の転職活動、その選択肢は、農林中央金庫の一択のみでした。

実行すべきはかつての上司の教えだった

Q.入庫後の配属先は希望どおりでしたか?
札幌支店への配属は、まさに願ったり叶ったりでした。折しも、とあるJAが解散・合併となり、所属していた農家も継承されるJAと取引することになったのですが、一部の酪農家については農林中金が直接取引を行っていました。そこで絞りたての牛乳を飲ませてもらいながら、相手の悩みに耳を傾け、どこに課題があるのかをともに探し、資金対応しながら一緒に一つひとつ解決していきました。前職と比べれば、確かに高度な知識や技術が求められる場面は限られましたが、その酪農家の経営をサポートしていくのは担当である自分だけという現実を前に、実行すべきはかつての上司の教えであることは明らかでした。情熱をもって仕事に臨む酪農家たちの経営が改善していく姿を見届けることができ、私は「銀行員の本懐」を実感することができました。実はこのとき若手の指導係も担っており、何をどう教えようかと考えていたのですが、結局は私が上司から教わり実行したことを、そのまま伝えるに優るものはないと思い、そうしました。
Q.支店では、充実した日々を過ごせたようですね?
それは間違いありません。先の酪農家以外にも、北海道漁連との仕事も印象に残っていますね。近年、日本の近海では主要魚種である鮭・サンマなどの漁獲量が大きく減少するという事態に直面していますが、私は北海道漁連の役員たちと課題解決に向けた議論を重ねていました。追い打ちをかけるようにコロナ禍に遭い、ホタテの干し貝柱の輸出が停滞するという大きな問題も発生しました。ホタテは日本の海産物輸出1位で、8割は北海道で獲られています。輸出が停滞すれば、膨大な在庫と在庫資金が必要となります。私はその資金対応を迅速に行うことで危機を回避することができましたが、日本の水産物の4分の1を扱う北海道、そして関係の深い当庫ならではの仕事だと感じました。このとき強く心に残ったのは、日本の漁業を引っ張り盛り立てていくのは自分たちなんだという、北海道漁連の人たちの強い自負と責任感。こちらも「中途半端な仕事はできない」「彼らの気持ちを絶対に裏切ってはならない」と思い、彼らの思いの強さや情熱に引っ張られていく。まさに血の通った仕事ができました。これは余談ですけど、前職では農林中央金庫をコンペティターと言うよりも資金力のある投資家という認識でした。それだけに当庫の支店勤務を通じて、「人知れずこんなホットな仕事をしていたのか」と思いましたし、「どうりで熱い人が多いわけだ」と納得しましたね(笑)。

担当の意見が色濃く反映される職場

Q.現在は、どのような仕事をしていますか?
営業企画部の農業金融班で、各支店で農業貸出を担う職員の後方支援をしながら、とくに現在は「農業者所得向上」に向けた施策を検討しています。JAグループ内はもとより、日本食農連携機構や農業法人協会といった外部団体とも連携しながら、いろいろと知恵を出し合っているところですが、現場を自分の目で見てきたからこそ現業務には力が入ります。ほかに日本農業経営大学校の運営にも携わっています。学校運営をよりよくしていくためにはどうすべきかを考える仕事ですが、その先に見据えるのは担い手の育成です。人口減少局面にあって、いきなり就農者を増やすことは難しくとも、効率的な経営を実践できる人財をひとりでも多く育成することは、担い手不足、マンパワー不足を補いますので、こちらの仕事にも熱が入ります。元々農業関連の知識が浅かったこともあり、学ぶことが多く、私の頭の中は農業一色です(笑)。
Q.各種施策のなかでも、成果が見えてきたものはありますか?
走り始めているプログラムのなかに「担い手コンサル」というのがあります。JAや信連が農業法人、個人農家を何軒か選定し、そちらに対して外部コンサルタントとタッグを組んでコンサルを実施しています。課題をヒアリングし、現状分析を行うことで数値に置き換えながら、その課題に対するソリューション提供を行うと。3か月で1つのクールが終わり、その後は現地JAがフォローアップしながら、その進捗具合をモニタリングするという内容ですが、やはり多くの農家さんの経験に依るところが多く、経営の見える化ができておらず、品目構成や推移を数字で示していくだけでもインパクトがあるみたいです。6次化を展開している農業法人では、加工事業を伸ばしていきたいという意向がありました。ところが、事業ごとに収支分析を行ったところ、実は青果事業が稼ぎ頭で加工事業は赤字事業であることが判明しました。これまで意識していなかったことが経営課題として浮彫になったことで驚いていましたが、やるべきことが明確となり、清々しい顔をしていらっしゃいました。実は「儲かる農業」は足元から実現できるのだということを知ってもらう、このちょっとした意識変革が農家さんの大きな励みに変わることを教えられました。さらにサポートするJAとしても、課題が明確となれば自分たちが所有するより高度な知識や技術を農家に提供でき、それがまた両者の励みとなることも。私としてもこのプログラムは横展開ができ、かつ自走できる内容へと、早急にブラッシュアップさせたいと思っているところです。
Q.今後、農林中央金庫で実現したいことは何ですか?
入庫以来、一貫して感じているのは、担当の意見が色濃く反映される職場であるということです。もちろん、トップダウンで行う業務もありますが、ボトムアップで意見を言える風土がここにはあります。支店においても、本店においても、私は企画・立案から実際の活動までを担当者として遂行してきましたし、上司からもそのような働き方を期待されていると感じてきました。うまくいかずに絶えず軌道修正し、試行錯誤を繰り返してばかりですが、こうした仕事ができるのも、少しずつでも前に進もうという担当者の思いを理解、尊重し、協力してくれる仲間がいるからです。だからこそ、われわれは「持てるすべてを『いのち』に向けて」というパーパスも掲げられるのだし、「農林水産業」「持続可能」「食」「環境」といったキーワードのもと、自分たちがキープレイヤーとなって周囲を牽引し、よりよい社会のために尽力していくのだという思いを胸に抱けるのだと思っています。大きな話に聞こえるかも知れませんが、地域単位でも意識の持ちようで実現可能であることは、先のプログラムを通じて農家さんがわれわれに示してくれたことでもあります。かつて抱いた「もっと大事なことがあるんじゃないか」という思い。それは私にとって当庫が掲げるパーパスの実現以外のなにものでもなかったと、今はそう確信しています。