農林中央金庫

キャリア採用サイト

DIALOGUE

地域職対談

地域に貢献し、
第一次産業の可能性を引き出す。

佐藤 亮RYO SATO
山形支店 2012年入庫/文学部卒

2007年に地方銀行に入行。1か店目で窓口業務、個人向け営業などを担当し、2か店目では住宅ローン専門部署で住宅業者向け営業を担う。2012年に農林中央金庫に入庫し、山形支店に配属。リテール二班でローン推進企画を、2015年からは経営サポート班でJAを担当。2017年より営業第一班にて、系統(プロパー)貸出などを担う。

白石 直樹NAOKI SHIROISHI
福島支店 2016年入庫/地域政策学部卒

2010年に地方銀行に入行。計2か店、約6年半にわたり法人営業、個人営業に従事。2016年に農林中央金庫に入庫し、福島支店に配属。営業第一班にて、系統(プロパー)貸出、ファンド営業、JA農業資金の推進サポート業務に従事。2018年より、支店内組織変更により営業第二班に配属となり、JA農業資金の推進サポート業務に専念。

chapter_01

今後は法人経営体が増えていく

白石
農業については先行き不安な話題が多かったのですが、近年は明るい話題も増えてきました。実は先日も、県域におけるJAグループの現場担当者を集め、福島県内で大規模に稲作をされている農業法人の経営者を講師に招いたセミナーを企画、実施したのですが、そこまでに至る経緯やさまざまな工夫、各種施策についてのお話は、これからの農業の可能性を大いに感じさせる内容でした。最後には「今後のJAさんの取り組みに期待しています」という激励の言葉までいただき、私自身、大いに勇気づけられました。
佐藤
先進的な取り組みをされている農業法人の存在には、私たちも背中を押される思いがしますよね。なかでも私はそうした農業法人に対して、農林中央金庫のプロパー資金を貸し出すことで、その経営を支えていく立場です。それだけに農業の現場で生まれている法人化への流れや気運、あるいは未来を見据えた積極果敢な試みについて、金融、非金融を問わず、担当としてしっかりとサポートしていきたいと思っています。とくに白石さんが講師に招いた手本となるような農業法人は、大規模化、高度化を進めることによって新規雇用、つまりは地域の担い手、後継者を育てていこうとされていますし、加工や販売といった6次化を通じて地域の農産物の付加価値を高め、地域経済の活性化につなげていこうと頑張っています。私としても、単にお金を貸し出すだけでなく、一連の取り組みに有用な情報をタイムリーにお伝えするとともに、経営についても深く関わっていきたいですし、お客様からもそこを期待されているのを強く感じています。
白石
折しも本店所管部からも、「自分たちも連携するので、『事業性評価』といった取り組みにも力を入れていきましょう」と言われています。今後、法人経営体が増え、雇用就農という就農形態も増大していくことを考えれば、JAの融資担当者も巻き込みながら、その経営に関わる部分についてもお手伝いすることは、私たちの重要なミッションとなっていくでしょうね。
佐藤
農林中央金庫が蓄積してきた日本全国の知見、データを活用しながら、定量的にも定性的にも分析を進め、まずはお客様の強み、弱みを明確にしていくと。そのうえで、どうしたら事業をよりうまく回していくことができるのか、今後の経営計画の検討をお客様とともに一緒に考えていくことが、いっそう大事になっていくはずです。私自身、ここには個人的にも力が入りますし、農林中央金庫で働くことの醍醐味のひとつと理解しています。メガバンクや地銀の支店の担当レベルではなかなか入っていけない領域ですからね。それに担当としては、融資だけでなく、出資でもお役に立てることがあるかも知れないので、そこもしっかりと考えていきたいと思っています。
白石
出資は、私たちの前職である地銀ではできなかったですものね?
佐藤
そうなんですよ。立ち上がったばかりの農業法人は、対外的な信用力がまだついていませんから、資金調達が難しいという現実があります。そこで、私たちが出資をして、資本を増強することができれば、信用力が増して資金調達もしやすくなりますし、そんな実例も目の当たりにしてきました。これから法人化する経営体がますます増えることを考えると、出資も有効な手段だと思いますね。そこに、それこそ白石さんが現在、シェア向上に向けていろいろと企画、支援されているJAの農業資金が入っていけば、それがひとつの形にもなっていきます。
chapter_02

『事業性評価』がますます重要になる

白石
ご指摘のように、私は県域における農業融資シェア向上に向けた、JAの農業資金推進のための支援業務を進めています。具体的には、JAの融資担当者を集め、冒頭でご紹介したような講演会やセミナーを行ったり、新任担当者向けの研修会を開催したりしています。しかし、これだけでは各担当者にとっても心もとないと思いますので、「企画会議」と銘打って、定期的に集まってもらい、課題や悩み、それを解決するための策を、皆で共有する場を設けています。
佐藤
実は私も、県域JAの融資担当者と定期的に意見交換を行いながら、場合によっては一緒に農業法人に訪問することもあるのですが、系統とは言っても異なる組織の人たちに働き掛けることは、やはり簡単なことではないですよね。それぞれのやり方や考え方、流儀がありますから。
白石
そうなんです。佐藤さんにしても私にしても、地銀で営業をやっていましたから、良くも悪くもノルマが課され、それが明確な目標設定となっていました。もちろんJAにおいても目標設定はありますが、農業資金については、まだまだ個々人までには落とし込まれていない部分もあります。ただ、明確な目標、具体的な数値を掲げることは、働くうえでのモチベーションにもつながりますので、何とかうまい形で目標と実績、目実管理みたいなものを、文化、習慣として浸透させていけたらと思っているんです。
佐藤
そういう意味では、先ほど白石さんが指摘した「事業性評価」は有効ですね。私もお客様の経営計画なり事業計画なりの作成に熱が入るのも、計数管理によって浮き彫りとなる数字で「見える化」することが、お客様の励みにもなっているからです。個人経営体や、集落営農組織のような非法人の組織経営体は、その家なり地域なりに受け継がれてきた経験と勘、熟練の技による営農が基本ですので、ともすれば計数管理とは無縁でした。しかし法人化が進めば、計数管理が不可欠になってきますので、実は私もICTを活用しながら、お客様自身でも先を見据えて大まかな経営計画が立てられるようなツールを何か提供できたらと、自分なりに考えたりしています。
白石
そのとおりで、事業性評価をJAの融資担当者にも共有できれば、お客様の何に対して融資をすればよいかが見えてきますので、農業融資シェア拡大にもつながりますし、何よりお客様の経営目標が自分の目標にもなるのではないかと考えています。あとは私自身が後方支援として、営農部や農機センターといったJAの各部門に対して、「JAバンクにはこういう商品があるので、何かの折にはお客様にアピールしてください」と依頼する。あるいは、農林事務所に足を運んで新規就農者の情報を集めたり、保証会社を訪ねて就農者向け貸出に関する保証の考え方や手続きの際のポイントなどを摺り合わせたりしておくこと。こうした関係団体とのリレーションを強化していけば、自ずと農業融資シェアも拡大していくのではないかと、そういうシナリオを描いて実行しています。
chapter_03

全国、そして海外も視野にとらえて

佐藤
白石さんの今のお話でもわかりますが、私が農林中央金庫に入庫して何に驚いたかと言えば、その関係者の多さです。自身の所属班や支店内だけでなく、本店所管部に国内外の僚店、これに関係団体や行政も加わりますから、相当の数です。しかも実際に業務に就いて実感しましたが、こうした多数の関係者と日々やり取りをしながら、さまざまな業務、施策に取り組むことからも、私たちの仕事はそれなりの影響力を持っています。
白石
おっしゃるとおりですね。私は前職で経験を積むにしたがい、企画業務を主とする本店業務に強く興味を持つようになったのですが、若くして本店に異動することは難しかったですし、異動できたとしても若手がメインで活躍できるフィールドはありませんでした。そこで、そうしたフィールドを求めて農林中央金庫に転職した経緯があるのですが、実際に福島県内に200店舗近くを構えるJAバンク福島の、その企画、支援を自分が主体となって進めていく仕事は、自分が想像していた以上に刺激的ですし、やりがいがあります。農林中央金庫においては支店でも、県域においては本店で働いている感覚です。
佐藤
たしかに若手職員であっても責任を持って各々が業務にあたっていますし、支店内のミーティングでも若手に意見を求める環境は、私もとても新鮮でした。それに私たちは地域職なので転勤はありませんが、総合職の人たちが全国各地から、いろいろな経験と、それに基づく知見やノウハウを携えて異動してくるので、およそ自分では考えもつかないようなアイデアがポンポンと飛び出します。そして自分もそうしたアイデアに刺激されて、企画なり提案の幅もどんどん広がっているのを感じます。
白石
私も地銀時代よりも、明らかに視野が広がりました。前職では福島県内、それも担当地域だけを見ていた感じですが、今は福島にいながらにして全国、そして海外までも視界の端にとらえています。環境面においても、ワーク・ライフ・バランスの意識が高いので、プライベートの時間も充実し、それが仕事にも還元されています。前職よりも、休暇も取りやすくないですか? たとえば短期育休・短期育児休業制度は1日からでも利用でき、男性職員も取得できる制度となっています。そこで私も5営業日ほど、お休みを取らせてもらいました。
佐藤
私も2人目のときに取りました、支店長にもすすめられて。農林中央金庫では当たり前みたいで、おかげで私も父親としての株が上がりました(笑)。
白石
佐藤さんも私も、ともに生まれ育った地で、家族とともに暮らす時間を大切にしたいという思いもあって地銀に入行したわけですけど、結果的には農林中央金庫に移ってからの方が、そうした時間を多く取れていますよね。
佐藤
そうですね。家族と出掛けられる機会も増えましたし、出掛けるたびに道の駅やJA直売所を訪れるようになりました(笑)。「この野菜が売れているのか」とか、「このフルーツが流行っているのか」とか。
白石
そうです、そうです(笑)。とくに県外に出掛けたときなどは、その地域では何が獲れるのかを確認しますし、スーパーにも足を運んでチェックしています。県域の同一品目との値段や出荷時期の違いなど、気になりますものね。
佐藤
福島や山形は果樹や畜産物も名産ですが、これらは海外マーケットでの需要も伸びてきているだけに、そうした品目の動向などはとくに気になりますね。福島は桃が有名だし、山形はサクランボやラ・フランスが知られています。そう言えば先日も、関西の支店から「大手製菓のお客様が新たな商品開発に取り組んでいるのだけれども、山形のラ・フランスはどうだろうか? ある程度のロットで調達できる先はありますか?」という問い合わせがあり、私も候補をいくつか出したことがありましたけど、こうしたビジネスマッチングにも力を入れていきたいですよね。
白石
山形も福島も農業県ですし、米、野菜、果物、畜産物、それに海産物と、バランスよく何でも獲れますから、ビジネスマッチングを通じた販路拡大と、イベントなどを通じた国内外へのPRについても、注力していきたいですね。地域職である自分の行動範囲が広がれば広がるほど、担当県域の農畜産物も広まっていく、そんな印象を受けているだけに、農林中央金庫のネットワークをフル活用しながらつねにアンテナを高く保ち、チャンスがあれば行動に移していきたいと思っています。
chapter_04

他の産業よりも成長が見込める産業

佐藤
白石さんと話をしていて改めて感じているのは、自分の仕事が地域の農業を元気にすることに寄与していることのやりがいです。今もJAと協力した、数十億円規模の設備投資案件が進行中ですが、これにより米の精米施設と野菜・果物の集出荷施設が完成する予定です。主体はJAの子会社となりますが、地域の新しい農業インフラ施設として地元の農業経営体からも多くの期待が寄せられていますし、その事業量の拡大は「農業所得向上、農林水産業の活性化」を意味すると同時に、農業の盛んな山形にとっては「地域経済の活性化」にも少なからず好影響を与えるはずです。私は転職するにあたり、地元山形に大きく貢献できるのは第一次産業に関わる仕事が一番だと思ったこと、妻の実家が農家であることから農業を身近に感じてきたこと、この2点が農林中央金庫を選んだ理由でした。そして現在、「こんな設備を建てたい」「規模をもっと拡大したい」というお客様の夢や目標に、融資や出資といった目に見える形で直接サポートできることは大きなやりがいであり、感謝の言葉をいただけることは望外の喜びでもあります。
白石
私は実家が自営業だったこともあり、零細企業の経営者の苦労を目の当たりにしてきましたし、地域の衰退も目にしてきました。だから地元で就職し、地域の発展に貢献したいと考え、大学では地域の活性化について学び、就職先は金融機関と早くから決めていました。そして農林中央金庫に転職したことで、自分の思いがいよいよ形になってきたことを噛みしめています。佐藤さんが指摘されたように、福島においても第一次産業に関わる仕事は地元への影響力も大きいですし、お客様の経営にここまで深く踏み込んだ仕事ができるのは、農林中央金庫ならではと考えています。とりわけ私たち地域職は、JAグループにおける県域の調整役として、各種施策をしっかり現場に落とし込み、結果を出していくことが使命だと理解しています。とりわけ農業にしても金融業にしても、取り巻く環境は今後、ますます大きく変化していくことが予想されるだけに、「生まれ育った地域に貢献していく」という信念を貫いていくことが大事だと思っています。
佐藤
農業の現場では大規模化、高度化した経営体の成功事例が励みとなり、自分たちも法人化して頑張ってやっていこう、6次化に取り組んでいこうという気運が高まっていますし、農業を志す優秀な人材も少しずつではありますが確実に増えています。福島も山形も農業県らしく、県域では異業種も参入したさまざまな試みが進められていますので、こうした取り組みをサポートすることによって先進的な事例を生み出し、それを全国へと発信していくことが、全国機関である農林中央金庫で働く地域職の使命だと考えています。一方で、法人化が進めば利益優先となり、作業効率の悪い中山間地域の農地が耕作放棄地となって、ひいては農業の生産基盤の縮小に繋がっていくといった課題も指摘されています。でも、私は悲観していません。なぜなら、そうした課題を解決していくために、私たち農林中央金庫の職員がいるのだと自負しているからです。
白石
同感です。総合職が今、国内外からさまざまなアイデアを持ち寄り、部門の垣根を越えていろいろと知恵を出し合い、これまでにない事業、これまでにない課題解決策を模索しています。そして特定職が、そうした構想を速やかに実現できる組織へとバージョンアップさせるべく、RPAやAIなどの導入を進めています。こうした動きからも明らかなように、農林中央金庫は創設100周年という節目を機に、次の100年に向けて大きなドライブがかかっています。
佐藤
そして白石さんも私も最前線にいるからこそ肌で感じていますが、日本の第一次産業、とりわけ農業は、まだまだポテンシャルがあります。もしかしたら、他の産業よりも成長が見込める産業と言ってもいいかもしれません。こうした予感を、自分たちの手で確信へと導いていけるよう、農林中央金庫一丸となって「JAグループの台風の目」になっていきたいですね。