農林中央金庫

キャリア採用サイト

PEOPLE

地域職職員

宇都宮支店

生産現場で大きな役割を果たしている。
だからこそJAのファンを増やしたい。

大木 篤幸ATSUYUKI OOKI
宇都宮支店 総括班
2015年入庫/人間科学部卒

政府系金融機関に入社後、中小企業向け融資・デリバティブ商品・シンジケートローンなどの役務取引業務に従事し、中小企業ファイナンス全般を経験。その後、長野支店に異動となり、引き続き同業務に従事。そして2015年、農林中央金庫に入庫。農林水産環境事業班(現・営業第一班)に配属され、前職の経験を生かしてファイナンス業務に従事し、2020年より現職。県内JAの内部監査、金融店舗体制、農協法令規制、貯金保険制度などの、信用秩序維持にかかる業務の主担当として活動している。

相互扶助の精神のもと、使命感を持って働ける

Q.転職を考えるようになった理由は何ですか?
政府系金融機関に勤務していたのですが、全国転勤が前提であったため、私も2か店目で東京を離れ、地方に異動となりました。このときに、それまで日常的に行っていた母方の実家の農地や家、墓地などの管理が難しくなりました。家庭環境が母子家庭のひとりっ子ということもあり、自分が管理できなくなってからは、母がひとりでそれを行っていたのですが、真夏の草刈りや周辺に迷惑をかけないための木の剪定作業など重労働も多く、母ひとりが負担を負うことに不安を感じていました。そのようななか、母が体調を崩したこともあり、今後の家の管理などを考えても全国転勤を続けていくことは難しいと感じたため、転職を検討することになりました。
Q.転職先として、農林中央金庫を選んだ理由は何ですか?
大学では福祉を専攻していたのですが、そこで相互扶助の重要性を認識し、前職では政府系という公共性の高い金融機関でセーフティネット機能を発揮して中小企業支援を行っていました。非常にやりがいのある仕事で、尊敬できる上司や先輩、同期とともに積極的に業務に取り組みました。ある案件で大型の設備投資に本部を巻き込んで資金対応できたときは、施設落成式のスピーチで取引先の社長から「彼が自分の夢を叶えてくれた」と言ってもらい、自身の仕事をとおして取引先顧客やステークホルダーの夢を実現できる金融機関の仕事は素晴らしいと、あらためて感じました。中小企業は大企業に比べファイナンスのハードルが高い企業もあり、そのような「中小企業のために」という使命感を持って仕事ができることは自身の充実感につながりましたし、同僚に恵まれ、営業実績も残すことができました。そして、それが評価にもつながったことから、中小企業のファイナンス支援業務は自分の天職なのではないかと思いながら業務に当たってきました。こうした経験と背景から、転職先でも培った知見、ノウハウを活かし、金融業務をとおして「誰かのために役に立ちたい」という「使命感」を持って働きたいとの希望があったんです。このような観点から、農林水産業の協同組合において、信用事業の唯一無二の中央機関として存在する農林中央金庫ならば、自分が重視している価値観に適合するのではないかと考えました。それに母方の実家は祖父の代まで兼業で農業を営んでおり、幼い頃に祖父の耕した田圃で遊んだことが自分の原風景となっていることもあり、農業に対する親近感も持っていました。こうした経緯から、転職活動も当庫一社しか検討しませんでした。
Q.実際に働いてみて、イメージギャップはなかったですか?
相互扶助の精神のもと、使命感を持って働けるという点では、申し分のない職場だと実感しています。ただ、本店、支店を問わず、上司部下の関係性を含めて全体的にフレンドリーな企業文化を有していることには正直、驚きました。金融機関というのは、どこも程度の差はありますが、良くも悪くも上下関係が厳しいところがあると考えていました。ところが、当庫は上司部下の関係性はしっかりしているものの、どこかお互いフレンドリーに話し合える雰囲気があり、それにより立場や所属を超えた自由闊達な意見交換ができるので、他部署とも連携しやすい環境が実現されているのだと感じています。前職ではこんなことを言ったら失礼なのではないか、怒られるのではないかと心配して発言を控えたような内容であっても、当庫では忌憚なく発言できる現実は、私にとって大きなイメージギャップでした。

業務遂行に終始せず、職員の成長を促す職場

Q.入庫後、どんな仕事をしてきたのですか?
当時の農林水産環境事業班(現・営業第一班)に配属となり、農業法人を中心に、前職に引き続いて融資や出資などを中心としたファイナンス業務に従事しました。印象に残っているのは、全国有数の酪農メガファームを担当していた頃の事例です。栃木県は北海道を除く本州最大の酪農生産地域であり、首都圏に近い立地を活かして、全国でもトップクラスの酪農農業法人、飼養頭数にして1,000頭以上を数えるメガファームが複数存在しているのですが、そのなかの1社と新規取引を開始することができました。今後も取引拡大を目指していきたいと考えていたところ、同社社長にヒアリングを行うなかで、計画している事業拡大投資が経営状況から考えて、適正かどうか判断がつかず悩んでいるとの話題があがりました。当庫の支店では、取引先訪問時のやり取りを業務記録として作成し、支店内および業務所幹部である本店営業企画部に報告を行っているのですが、私の業務記録を読んだ営業企画部の担当者よりほどなく連絡があり、本支店が協力して提案を行おうという申し出を受けました。そこで協議の末に、同社の悩みである事業拡大投資の適正判断については、財務的なアプローチから行うこととし、提案する具体的な内容、とくに分析に用いる財務指標や、資料構成に関するアドバイスを受けました。資料作成の一部も協力してもらい、提案当日は営業企画部の担当にも同行してもらうことに。結果として、同社社長に非常に喜んでもらい、信頼を獲得することができました。当庫は新規行ながら事業性評価の取り組みを依頼され、再び本店審査ラインと協力して対応した結果、農林中央金庫の農業に対する事業理解の深さと分析力が高く評価され、事業拡大投資に対する資金調達の申し出を受けるにいたったのです。この事例は、本店からの働きかけやサポートがなければ、最終的な取引拡大は実現しなかった可能性も十分にあるなかで、こうしたチーム体制で業務を進められたことは、私にとっても新鮮で、当庫で仕事をする面白さだと感じました。
Q.前職では、こうした業務の進め方はなかったですか?
前職では営業担当者はそれぞれ個人目標を持っており、案件処理はあくまで個人または直属上司ラインで行うもので、本店からのサポートは営業担当者による案件具体化後に実務面について受けるという流れでした。先ほどご紹介した事例において、本店から手厚いサポートがあった背景としては、やはり当庫においては本店・支店ともに少ない職員数で幅広い業務を行っていることから、円滑な業務遂行にあたり、ほかの担当者との積極的な協力が不可欠となっていることが大きく関係していると思っています。このような体制が、お互いに積極的に関与し、協力し合って専門知識やノウハウを持ち寄り、直面している業務課題の解決に向かうという組織風土、文化につながっているのだと感じています。
Q.ほかにも業務の進め方で、前職との違いを感じたことはありますか?
営業第一班の後に現部署へと異動となったのですが、ここでもひとつ、違いを感じたことがありました。直近の業務として、JAの営農経済部門の収支改善プロジェクトに参画したのですが、メンバーとして本店2名、私を含む支店3名のほかに、外部専門コンサルタント2名が加わりました。プロジェクト自体は14週間という限られた期間において週4日JAに常駐し、JA職員とともに集中的に収支改善策を策定するというものでしたが、プロジェクトをとおして私自身、外部コンサルタントから習得できたことが非常に多くありました。彼らは、単に効果的な収支改善策を策定するだけではなく、収支改善策を実行するJA職員のマインドセットも最重要事項としており、どうすれば相手に理解、納得してもらえるかを考え抜き、相手の立場に立った思考を徹底していました。こうした彼らの懸命な姿勢がJA職員にも伝わり、当初はあまり関心が高くなかった職員も、プロジェクト終了時には極めて高いモチベーションで収支改善策を実行しようとする意識に変わっていました。短期間で人の意識が180度変わったことに私は非常に驚かされるとともに、自分がこれまで相手のためになると考え、かつ営業実績も上げるために行ってきた言動が、果たして相手の十分な理解を得られていたのかという自問につながり、ビジネスにおいて、本当に相手に信頼される存在になることについて深く考えるようになりました。農林中央金庫では、多くの業務で外部コンサルタントを活用しており、職員が彼らとともに業務を行う機会が少なからずあります。私の経験として、外部コンサルタントとともに業務を行った経験は大きな財産となっていることからも、業務遂行に終始することなく、職員の成長も促していこうという会社の企図が伝わってきますし、こうした当庫の組織風土や考え方は、大きな特長だと思っています。

農林水産業の発展、地域社会の発展、JAの経営基盤の確立

Q.現在は、どのような仕事をしていますか?
先ほどご紹介した改善プロジェクトのアフターフォローや、日光・鹿沼地域にあるJAのALM(アセット・ライアビリティ・マネジメント)等の経営管理支援を行いつつ、信用秩序維持業務チームの一員として、県内JAの内部監査、金融店舗体制、農協法令規制、貯金保険制度などに関する業務を担っています。担当業務の幅が広いため、関与するのはJAの信用事業部署担当はもちろんのこと、JA経営の中枢を担う企画管理部署、営農経済部署、内部統制・監査部署と、JA本店を中心にほぼすべての部署の職員とともに仕事を進めています。ちなみに前職では、取引先顧客向けのファイナンス業務が中心であったため、関わる人は担当取引先100社以上の経営者や財務部長といった財務系幹部が中心でした。もちろん、前職でも取引先の経営課題解決に資するコンサルティング業務、経営ソリューション提供は求められており、実践できるよう努めていましたが、多種多様な業種の取引先を数多く担当し、日々の目標達成に向けて業務に当たるなかでは、深く取引先の事業や業務を把握、理解し、実効性の高い提案を行うことは現実的に困難でした。
Q.でも、今はそれができると?
そうです。ただし、前職では一貫して法人向けファイナンス業務に特化して従事していたため、財務分析に紐づく事業内容把握と企業審査・ファイナンス提案を数多く経験したことで、多様な経営体から多くの知見を獲得できたことは大きな財産となっています。私としてはこうして蓄えた知見を踏まえ、各JAの財務・経営指標と個別事業・業務内容を十分紐づけて理解することができ、また事業を動かしている職員一人ひとりとまで関わることができるようになったことは、今後において大きな意味を持つと考えています。
Q.今後、農林中央金庫で実現したいことは何ですか?
農林中央金庫およびJA、JAグループが、第一次産業の発展をとおして社会に提供できる価値を増大させ、それを正しく理解してもらうことによって、JAグループのファンを拡大させたい。なかでもJAグループに関心が低い層の支持者を獲得したい。その方策として、JA推進業務をとおして、信用事業や営農・経済事業でJAの収支改善に資する取り組みや提案を実践することで、JAの安定的な経営基盤の確立に貢献していきたい——。そう考えています。農林水産業の最前線で農業生産者と向き合っているJAは、JA自身の事業に関わる事業的な業務のほかにも、生産部会組織等に関する共益的な業務、行政・農政の委任業務的機能を果たしている公益的な業務など、農業生産に関して幅広い業務を担っており、農業生産の現場において果たしている役割は非常に大きいものがあると、当庫に入庫し実感しています。それだけにJAの事業をあらゆる側面から検討して高度化し、農業生産者と消費者に提供する価値とその提供対象を拡大することができれば、従来のJA利用者はもとより、新たなJA支持基盤を創出することができ、農林水産業の発展、地域社会の発展、そしてJAの経営基盤の確立という「三方良し」を実現することができると信じています。とりわけ農林中央金庫は、JAがカバーできない規模の法人経営体などとの直接取引により、当庫のユニークかつ高度で専門的な金融ソリューション提案を行い、JAグループとしての取引拡充を実行できる立場にあります。取引先の農業生産拡大に資する、全国と連携した大きな枠組みの企画立案などをとおして、非金融分野においてもJAグループの一員としての当庫のプレゼンスを向上させる。結果として、JAグループに関心が低かった層の支持を広げていく。そんな仕事をしていきたいと思っています。