仕事の「意義」というものを考えるようになった
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Q.前職では、どのような仕事をしていたのですか?
- 信託銀行で、シンジケートローンのアレンジメント業務やストラクチャードファイナンス業務を行っていました。入社2年目に、大企業向けシンジケートローンを商業銀行と協働でアレンジしたことを振り出しに、以降1年半ほど同業務に従事。お客様、協働アレンジャー、多数の参加金融機関の利害を調整するために、相手に対してどのように伝達すれば、適切な理解を得られるのかといった「交渉力」を身に付けていきました。その後、ストラクチャードファイナンス業務を担うことになり、証券化商品、デリバティブ商品、ファンド向けファイナンスなどに取り組みました。一連の業務を経験することで、どういうところに収益のタネが隠されているのか、どんなところにリスクが潜むのか等、実地で学びながら「洞察力」を養いました。その成果を評価していただけた為なのか、入社6年目に政府系金融機関へ出向する機会に恵まれ、これが私にとっての大きなターニングポイントになりました。
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Q.政府系金融機関では、どのような仕事をしたのですか?
- 再エネをはじめとする電力関連のプロジェクトファイナンス業務を担当しました。日系企業が数百・数千億円規模の海外プロジェクトを成功させるために、自分たちはファイナンス面でどのような支援ができるのか、それをさまざまな利害関係者とともに突き詰めて考え進めていく、とても刺激的な仕事でした。プロジェクトファイナンスでは、スポンサー、オフテイカー、EPCコントラクター、O&M企業など、多種多様な関係者がリスクを分担する必要があります。関係者は長期間に亘って同じ船に乗ることになりますので、一部の者に過度なリスク負担を強いると、プロジェクトが行き詰まり、結局は全関係者に跳ね返ってきてしまう。だからこそ、関係者全員が満足のいくリスクシェアリングを実現する必要があるのです。その事実を、現地実査や関係者間協議等を繰り返すことで、身をもって理解できたことは、現業務にダイレクトに活かされています。
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Q.ターニングポイントになったとの言葉もありましたが、この出向によって自分の身に起きた変化とは何だったのですか?
- 自分にとっての「仕事」とは、を考え直す機会となりました。株式会社はどうしても短期的な収益も追いかける必要があります。そのため、各種取り組みにあたり、短期的な収益と長期的な目線での取り組み意義との間で、悩むことが多くありました。しかし、政府系金融機関に身を置き、「日本および国際経済社会の健全な発展のため」という明確な意義のもとに働けたことで、仕事を通じて自分はどのように社会に貢献していきたいか、といったことを深く考えるようになりました。