
chapter_01
今後は法人経営体が増えていく
- 白石
- 農業については先行き不安な話題が多かったのですが、近年は明るい話題も増えてきました。実は先日も、県域におけるJAグループの現場担当者を集め、福島県内で大規模に稲作をされている農業法人の経営者を講師に招いたセミナーを企画、実施したのですが、そこまでに至る経緯やさまざまな工夫、各種施策についてのお話は、これからの農業の可能性を大いに感じさせる内容でした。最後には「今後のJAさんの取り組みに期待しています」という激励の言葉までいただき、私自身、大いに勇気づけられました。
- 佐藤
- 先進的な取り組みをされている農業法人の存在には、私たちも背中を押される思いがしますよね。なかでも私はそうした農業法人に対して、農林中央金庫のプロパー資金を貸し出すことで、その経営を支えていく立場です。それだけに農業の現場で生まれている法人化への流れや気運、あるいは未来を見据えた積極果敢な試みについて、金融、非金融を問わず、担当としてしっかりとサポートしていきたいと思っています。とくに白石さんが講師に招いた手本となるような農業法人は、大規模化、高度化を進めることによって新規雇用、つまりは地域の担い手、後継者を育てていこうとされていますし、加工や販売といった6次化を通じて地域の農産物の付加価値を高め、地域経済の活性化につなげていこうと頑張っています。私としても、単にお金を貸し出すだけでなく、一連の取り組みに有用な情報をタイムリーにお伝えするとともに、経営についても深く関わっていきたいですし、お客様からもそこを期待されているのを強く感じています。
- 白石
- 折しも本店所管部からも、「自分たちも連携するので、『事業性評価』といった取り組みにも力を入れていきましょう」と言われています。今後、法人経営体が増え、雇用就農という就農形態も増大していくことを考えれば、JAの融資担当者も巻き込みながら、その経営に関わる部分についてもお手伝いすることは、私たちの重要なミッションとなっていくでしょうね。
- 佐藤
- 農林中央金庫が蓄積してきた日本全国の知見、データを活用しながら、定量的にも定性的にも分析を進め、まずはお客様の強み、弱みを明確にしていくと。そのうえで、どうしたら事業をよりうまく回していくことができるのか、今後の経営計画の検討をお客様とともに一緒に考えていくことが、いっそう大事になっていくはずです。私自身、ここには個人的にも力が入りますし、農林中央金庫で働くことの醍醐味のひとつと理解しています。メガバンクや地銀の支店の担当レベルではなかなか入っていけない領域ですからね。それに担当としては、融資だけでなく、出資でもお役に立てることがあるかも知れないので、そこもしっかりと考えていきたいと思っています。
- 白石
- 出資は、私たちの前職である地銀ではできなかったですものね?
- 佐藤
- そうなんですよ。立ち上がったばかりの農業法人は、対外的な信用力がまだついていませんから、資金調達が難しいという現実があります。そこで、私たちが出資をして、資本を増強することができれば、信用力が増して資金調達もしやすくなりますし、そんな実例も目の当たりにしてきました。これから法人化する経営体がますます増えることを考えると、出資も有効な手段だと思いますね。そこに、それこそ白石さんが現在、シェア向上に向けていろいろと企画、支援されているJAの農業資金が入っていけば、それがひとつの形にもなっていきます。