持続的に企業価値を
増大できる数少ない
「構造的に強靭な企業」を
見極め、長期厳選投資を行う。

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GLOBAL INVESTMENT BUSINESS

高島 秀歩

SHUHO TAKASHIMA

農林中金
バリューインベストメンツ株式会社(NVIC)

2013年入庫 商学部卒

PROFILE

入庫後、宇都宮支店に配属され農業法人向け融資業務を担当。着任後すぐに取引先である酪農法人にて1週間研修を行い、搾乳などの農作業を経験。1頭の乳牛からどのようにキャッシュ・フローが生まれてくるのか、それに影響を与えるさまざまなファクターなどを肌感覚でつかんだことでコーポレートファイナンスの面白みを知る。2016年より現業務に従事し、海外出張も経験、いずれは海外勤務も経験したいと話す。奥野CIOが書いた書籍『教養としての投資』を、学生時代にこそ読みたかったと笑う。

ウォーレン・バフェット氏の投資スタイルの実践

Q
まずNVIC(エヌビック)とは、
どういう会社ですか?

2014年に設立された投資運用・助言会社で、株式ファンドを機関投資家向けに、2017年からは個人向けにも展開しています。農林中央金庫の株式投資部において2007年に立ち上げられたプロジェクトチームが前身で、高名な投資家であるウォーレン・バフェット氏の投資スタイルで知られる「長期厳選投資」をコンセプトに掲げているのが大きな特徴です。

短期間で売買を繰り返すことで利益を上げる一般的な株式の投資スタイルとは異なり、NVICでは日米欧でそれぞれ厳選した20〜30社程度の「構造的に強靭な企業」に集中して投資を行い、長期で保有します。短期的な視点には縛られない一方、企業のビジネスモデルはもちろん、その企業が属する産業構造や競争環境等に対する深い理解が欠かせません。「この会社は構造的に強靭な会社と言えるのだろうか?」という問いに対する仮説と検証を繰り返していくことがNVICの企業分析の特徴です。

Q
NVICの投資の
特徴は
どのような点ですか?

私たちは長期にわたり株式を保有し、短期的な売買は行いません。そのため、投資先との対話も「来年の決算はどうなりますか?」といった短期的なものではなく、長期的な産業動向や競争優位性に関する議論が中心になります。また、私たちは企業と対話する際には必ずディスカッションペーパーを作成し、私たちが考えている「投資仮説」を直接その企業にぶつけていきます。このような対話のスタイルを持った投資会社は珍しいようで、日本企業はもちろん、海外企業からも「面白い投資家が日本からやってきた」と感じてもらうことができ、訪問を重ねるごとに重役(CEOやCFO)が出席してくれるようになります。

また、NVICでは『おおぶね』という個人向け投資信託の商品シリーズにおいて、上述した投資先企業等との対話を含む分析の内容を月次レポートで報告することにより、個人投資家の方にも「おおぶねに乗った気持ちで」安心して投資してもらえる材料としています。投資信託では珍しい取り組みですが、これが実践できるのも「長期厳選投資」というコンセプトのもとで投資先と質の高いコミュニケーションを行っているからだと考えています。

Q
ちなみに、
投資先はどのように
選定しているのですか?

「産業の付加価値」、「競争優位性」、「長期潮流」の3点を重視し、これら全てを兼ね備えているかという基準で選定しています。
「産業の付加価値」というのは、その企業が属している産業が社会の中でどのくらい重要な役割を果たしているのか、社会にとって必要不可欠なのかということですね。
「競争優位性」は、他の企業が参入を諦めてしまうぐらいの「参入障壁」を築くことができているか。
そして「長期潮流」とは、たとえば世界の人口増加にともない不可逆的に拡大していくような産業なのか、ということです。

投資実行までのプロセスで、企業の本質的な価値を見極める

Q
今はどんなお仕事を
されているのですか?

企業投資部のアナリストとして、日米欧の企業の調査業務を主としていますが、2019年からはカスタマー&コーポレートリレーション部も兼務しており、投資信託の商品設計などにも携わっています。と言っても、社員数30名程度の小さな会社ですので、皆がベンチャー企業のような雰囲気のなかでさまざまな仕事をしています。

Q
メインの調査業務は、
どのように
進めていくのですか?

投資実行までのプロセスにおいて、企業の本質的な価値を見極めることが非常に重要となります。そこで、グローバルな産業分析にはじまり、企業訪問や競合他社訪問、証券会社アナリストとのミーティング、NVIC内でのディスカッション等を行いながら、上述した3つの視点から「投資仮説」を構築し、検証を繰り返していきます。

「株式投資」ではありますが、実際は「企業の実態に迫ること、産業を分析すること、経営の視点で企業を捉えること」であり、企業のビジネスモデルへの深い理解と、定性的、定量的な限られた情報をベースにした仮説構築能力が必要とされる業務だと言えます。

Q
印象に残っている
業務、案件は
何かありますか?

米国のガン放射線治療機器を扱うメーカーに投資を行った案件ですね。米国西海岸に本社を置く同社には4回訪問し、同社が来日した際にもオフィスに立ち寄ってもらって面談を行いました。

分析にあたっては、世界のガン患者数の長期推移やガン治療の発展の歴史的背景にはじまり、国ごとの放射線治療機器の普及率、医療機関によるガンの治療方法、具体的には外科手術、抗がん剤、放射線といった選択基準などについて調査しました。また、スウェーデンに本社を構える競合企業にも訪問してヒアリングを行いました。

これは非常に苦労した案件でしたが、長期間かけて分析した結果、投資が決定したときはとてもうれしかったですね。最終的に、同社は別の企業に買収されることになりましたが、大きなプレミアムを上乗せした買収価格を提示されたため、大きなリターンとなり投資家の方々に還元することができました。

長期厳選投資とは、社会に対し価値を提供することと同義

Q
まさに成功事例だと
思うのですが、
成功の理由は
どんな点でしょうか?

産業分析、企業分析を進める過程で、同社の事業が先ほどの3つの基準を高いレベルで満たしていることを確認でき、実証できたからだと考えています。

ガンは心疾患とならび世界で最も多い死因の一つとなっており、あらゆる病気の中でもガンの治療は極めて重要性が高いと言えます。そして、ガンの治療方法の中でも放射線治療が占める割合は、日本では2割程度ですが、欧米では6割を占めており、世界的に見れば放射線治療は一般的なガン治療方法として普及しています。これらを踏まえて「産業の付加価値は高い」という仮説を持ちました。
また、世界的な人口増加と高齢化によりガン患者数は増加傾向にあります。特に発展途上国等では、先進国と比較して死因に占めるガンの割合は低い水準となっていますが、経済が発展して衛生環境の改善等が進んでいけば、現在死因の大きな部分を占めている感染症の割合が減少していく一方、平均寿命が延びていくに従ってガンの割合が高くなっていくことが見込まれています。つまり、「長期潮流」に該当することが、人口動態などからも確認できました。

そして、「競争優位性」です。2015年時点でグローバルに約13,000台設置されている放射線治療機器市場は、同社とスウェーデンの企業の2社で7割のシェアを占めており、寡占された状況にあります。放射線治療機器の世界販売台数は年間で1,000台程度(うち半分以上が古い機器の交換需要)であり、新規参入企業がこれから設置台数を増やしていくには長い時間がかかります。加えて、機器を操る医師や技術者は、その操作が患者の生死に関わることから、使い慣れたものを好む、簡単には他社製品に置き換えたりしない傾向が強いことがわかりました。これらは新規参入企業にとって大きな参入障壁になっていると考えられます。
同社は当該市場においてトップシェアの5割を有しており、競合対比でも高い収益性を誇っていたことからも、高い「競争優位性」を備えていると判断しました。同社の競争優位性についてはスウェーデンの競合企業との面談においても裏付けられました。
最終的に同社は買収されることになったわけですが、同社を買収した企業も単純に新規参入しても同社には競争で勝てないと判断し、買収という手段を選んだと考えられます。

Q
仕事の面白さ、
やりがいとは
何でしょうか?

調査業務というのは、担当者の個性が出る仕事だと感じています。その産業や企業を深く調べていくにしても、いろいろな切り口があるため、どの角度から調べていくかで見えてくる姿も変わってきます。仮説を構築しながら、それを検証するために必要なことは何かを考えていく作業は、大変な部分もありますがとても面白いです。そのように苦労して分析した企業にはどうしても愛着が湧くので、普段買い物しているとき等に分析している企業の製品が目に入ると自然と手に取ったり、他の企業の製品と見比べたりしてしまいますね。

また、当然ながら、私たちは投資家への価値、投資先への価値を提供していくことを第一義としていますが、長期厳選投資というコンセプトのもと、社会にとって必要不可欠な企業へ投資を行うということは、結果的にその企業を通じて社会に対しても価値を提供することに繋がっていると考えています。

農林中央金庫職員としての融資も、NVIC社員としての投資も、コーポレートファイナンスに関する知識を深めていくことが必要であることは同じ。私はこれからも、この領域において自らのスキルや能力を磨いていきながら、当庫が取り組む変革を一層推し進めていける突破力のある人材になりたいと考えていますし、広く社会に価値を提供し続けられる仕事をしていきたいと思っています。

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