国内外のスタートアップ企業と
日本の農林水産業をつなぐ
架け橋となっていきたい。

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CORPORATE

小林 雄一

YUICHI KOBAYASHI

デジタルイノベーション推進部

2016年入庫/商学部卒

PROFILE

入庫の決め手となったのは、農林水産業の発展に寄与するという強い使命感を持って仕事ができること、そして職員同士がこの使命感を共有し、強いつながりのもとでそれを実行していることだった。入庫後は事務企画部に配属され、NBS(農中ビジネスサポート)に外勤。手形・為替関連の業務を通じて金融機関業務の基本を学び、2017年に営業第五部に異動。全漁連グループを中心とした系統貸出に従事し、2019年より現部署。

JAグループによって創設されたイノベーションラボ

Q
デジタルイノベーション
推進部の役割とは
何ですか?

コーポレート本部に属し、当庫のオープンイノベーションの要として「変化を追い風に、新たな価値創造へ挑戦する」役割を担っています。オープンイノベーションを推進するためには、革新的な技術やアイデアによって世界を変え得る力を持つスタートアップ企業との連携は不可欠です。当部は、そのようなスタートアップ企業と農林中央金庫の各事業部門の橋渡しを行い、協業や新規事業創発を推進する役割を担っています。

なかでも私が外勤している一般社団法人AgVenture Lab(アグベンチャーラボ)は、2019年5月にJAグループ全国8連(農林中金、JA全中、JA全農、JA共済連など)によって創設されたイノベーションラボで、スタートアップ企業や外部団体との連携を通じたオープンイノベーションにより、食と農・くらしにかかわる社会課題を解決することをミッションとしています。AgVenture Labのスタッフは、JAグループ全国8連の職員から構成され、当庫からはデジタルイノベーション推進部の職員が外勤という形で勤務しており、私もその一員として活動しています。

Q
AgVenture Labでは、
どのような取り組みを
進めているのですか?

活動の中心となるのは「JAアクセラレータープログラム」で、私も第1期から携わってきました。本プログラムは、「食と農、くらしの未来を創造する」をキャッチコピーに、革新的なアイデアや技術をもったスタートアップ企業を募集・選抜し、短期間で集中的に成長支援を行うことで、新ビジネス・サービス開発につなげるものになります。選抜されたスタートアップ企業は、約6か月間、JA全農・農林中央金庫の職員の伴走を受けながら、JAグループのさまざまな資源やAgVenture Labの施設などを活用して実証実験を行い、ビジネスプランをブラッシュアップし、最終的にはデモデイという成果発表の場で、その成果を世の中に発信します。AgVenture Labが開設された2019年から毎年開催されていますが、新聞各紙をはじめとするマスメディアに取り上げられる機会も増えましたし、デモデイの様子を動画配信してきたこともあり、その認知度も高まっています。

Q
そのなかで、ご自身は
どのような仕事を
してきましたか?

主な役割として、応募いただいた200件前後のビジネスプランを審査・選抜し、スタートアップとJAグループの橋渡し役を担う伴走者(JA全農・農林中金の社内公募により選ばれた20名程度の職員)をサポートするとともに、デモデイの企画・運営などを行ってきました。

本プログラム実行中は、採択スタートアップチーム(スタートアップ企業+伴走者)のサポートも行ってきました。たとえば、進捗管理や今後の方針検討を行う週次ミーティングに参加し、他チームや過去の好事例を共有したり、JAや生産者といったPoC(概念実証)実施先にスタートアップチームと同行訪問し、AgVenture Labやプログラムの意義を説明したりすることもありました。余談ですが、スタートアップチームと、とあるJAを訪問した際には、「AgVenture LabやJAアクセラレータープログラムの理念には非常に共感できる。こうしたスタートアップとの連携をもっと深めるべきだし、他のスタートアップももっと紹介して欲しい」という言葉をいただき、非常に励みになりました。

また、本プログラムに関連する業務として、当庫がパートナー企業として参画しているPlug and Play Japanの担当も務めてきました。Plug and Play Japanは、シリコンバレーをはじめとする世界各地でスタートアップ企業の育成支援を行うPlug and Playの日本拠点になります。当庫はPlug and Play Japanへの参画を通じて、グローバルなスタートアップの情報にアクセスすることにより、当庫を含むJAグループのオープンイノベーションを推進しています。そこで私は、Plug and Play Japanのスタートアップ支援プログラムに参画しているスタートアップと農林中央金庫、そしてJAグループの橋渡し役を担うとともに、同プログラムに参画しているスタートアップ向けにリバースピッチ(農林中金・JAグループが抱える課題やニーズの発信)を行ってきました。

前部署でのスタートアップ企業との新規事業が活動の原点

Q
「JAアクセラレータープログラム」
によって、これまでに
どのようなビジネスや
サービスが開発
されましたか?

たとえば、データ活用による農業支援サービスを開発しているテラスマイル株式会社では、JAグループ各組織との協業によって新サービスが生まれています。今、農業の現場には多種多様なIoTデバイスが普及していますが、取得したデータが散在していて上手く活用できていないという課題がありました。そこで同社は本プログラムを通じて、農業現場にあるIoTデバイスから取得したデータや、収穫した作物、気温等の情報を統合し、農業経営に活用できるデータを一目で見られるサービスの開発を進めました。当庫においては、金融機関の立場からもそれらのデータを活用できないかという検討がスタートしております。また、JA全中においては、同社とともにJA職員向けのスマート農業研修パッケージを作成しており、今後は農業データを活用した営農指導の普及を目指します。

また、株式会社CuboRex(キューボレックス)は本プログラムを通じ、同社の「E-Cat Kit(イーキャットキット)」を農業用不整地向けに用途展開することに成功しました。本製品は、農家が所有する一輪車や手押し車を簡単に電動化できる取り付け式の電動アシストタイヤキットで、作業労力、運搬時間が大幅に軽減されるものです。すでに和歌山県内のJAで販売され、みかん農家の間で大好評ですが、それというのも山の傾斜地に広がるみかん畑では、収穫したみかんを一輪車などを使ってトラックまで運び出すのが重労働だからです。とくに高齢の農家にとっては腰に負担がかかって健康を害する恐れもあるため、この電動化キットは救世主となっています。すでに広島県などの中山間地でも急速に普及しています。

Q
銀行員らしからぬユニークな
業務内容ですが、配属は
自身の希望ですか?

はい。AgVenture Lab立ち上げにともなう社内公募にエントリーしての異動でした。それまでは営業第五部水産全国連班という部署に所属し、全漁連グループを中心とした系統貸出に従事していました。漁船に乗ったり、水産加工ラインに入ったりと、貴重な現場経験をさせてもらいながら経営改善提案を実施してきたのですが、ある漁業法人で取り組んだスタートアップ企業との新規事業創発の経験から、漁業の振興にはスタートアップ企業との協業による新しい取り組みが必要不可欠であることを強く感じていました。それだけに漁業と比べるとスタートアップ企業の数が多い農業は、一歩先を行く分野でもありましたので、「まずは農業分野でどのようなイノベーションが起きているのかを学びたい」「スタートアップ企業と一緒にビジネスをするにはどうしたらよいかを学びたい」と思ったことが、大きな動機となりました。

Q
その漁業法人で取り組んだ
スタートアップ企業との
新規事業とは、
どういうもの
だったのですか?

畜養です。それまでは漁獲していたサバを出荷していたのですが、使用していない生け簀を利用し、ここで短期間飼育してから出荷することにしました。この結果、サバもひと回り大きいものを出荷できるようになったのですが、この取り組みのポイントは、サバを漁獲する際に一緒に獲れるイワシを棄てず、飼育のエサとして再利用する「循環型畜養」とすることでブランド化したことでした。これにより卸値も、当初比の5〜10倍にまで跳ね上がりました。取り組みとしてはいたってシンプルなものですが、私にとってはまさに目から鱗で、衝撃的な体験となりました。スタートアップ企業というのは、実績を作って市場に認知されるまでの道のりが大変なのですが、そのユニークな視点、発想は、常識を覆せるパワーを持っていることを目の当たりにし、その後の私の活動の原点となってきましたし、現業務の大きなモチベーションとなっています。

キャピタリストとして国内外のスタートアップ企業と各現場をつなぐ

Q
今はどんなお仕事を
されているのですか?

部内異動で、先ほどの「JAアクセラレータープログラム」の企画・運営から離れ、農林中金イノベーションファンドのキャピタリストを務めています。このファンドは、デジタルイノベーションを通じた社会課題解決に取り組むスタートアップ企業支援とオープンイノベーション促進を目的とするコーポレートベンチャーキャピタルファンドです。投資対象は、革新的な技術やビジネスモデルを持つ、AgTech、FoodTech、FinTech、LifeTech、地方創生分野など、JA・JF・JForestグループとの協業が期待される国内外スタートアップ企業となります。私を含め、各キャピタリストはスタートアップ企業をソーシングし、投資検討を行い、投資した先に対してはハンズオン支援を行っています。と言っても、私は異動したばかりで、まだ投資実績や投資先支援実績はありませんが、前部署での体験からもスタートアップ企業の支援は極めて重要であると認識してきましたので、これまでにも増して業務に力が入ります。

Q
今後、どのような取り組みを
進めていきたいと
考えていますか?

「JAアクセラレータープログラム」の業務を通じて、国内のスタートアップ企業はまだ数も限られ、国内だけの知見、ノウハウ、テクノロジーだけでは解決できないような問題は決して少なくないと感じています。また一方で、仮に解決策が海外にあったとしても、その情報になかなかアクセスできない、アクセスできても日本で使えるよう簡単にはローカライズできないという課題も見えてきました。そこで「最先端」のテクノロジー集積地であるシリコンバレーに新たに拠点を設けることが決まり、私もそこに赴任することになっています。現業務の延長、キャピタリストとして駐在できるからこそ、私は国内の有志だけでは解決できなかったような課題に取り組んでいる海外のスタートアップ企業をしっかりと見つけ出し、その人たちと日本の各現場をつなぐ、その橋渡し役をしっかりと全うしたいと考えています。

そして、その先に思い描くのはJAグループ、そして農林中央金庫の従来のイメージを変えていくこと。古き良き伝統は守り、変えるべきところは変える。変えるべきところのなかでも、自前で対応できない部分については、スタートアップ企業をはじめとする外部の力を積極的に借りる。そうやってイノベーションを絶えず生み出し、農林中央金庫、そしてJAグループは、「古き良き伝統とイノベーションを両立させた組織だな」と思ってもらえるようにしたいんです。それが農林水産業の発展に少なからず寄与すると信じるからです。

それというのも入庫して以来、たくさんの農林水産業者の人たちと関わるなかで、皆さんが口々に発するのは「子どもには継がせたくない」という言葉でした。続けて、「大変だし、儲からないからね」と言って笑っていましたが、では、どうしてご当人たちは辞めないのか。それは、そこに大きなやりがいと社会的意義があることを知っているからです。だとしたら私の使命は、その大きなやりがいと社会的意義をしっかりと支え、魅力あふれる産業であるのだということを後進の人たちに伝えること。イノベーションを通じた課題解決、イノベーションを通じたイメージ刷新は、その両方にアプローチできるはず。今はそう信じて、微力ながらも全力で、国内外のスタートアップ企業と日本の農林水産業をつなぐ架け橋となっていきたいと強く思っています。

Q
最後に社会人の先輩として、
学生の皆さんに
メッセージを
お願いします。

あまり偉そうなことは言えませんが、私自身は「自分はどんな仕事がしたいのか」よりも「自分はどんな人と一緒に働きたいのか」に重きを置いて就職活動をしていました。就職先での配属希望・異動希望は必ずしも自分で選ぶことができるわけではないけれど、一緒に働く人や組織風土は自分で選ぶことができると考えていたからです。そこで、業種問わずエントリーシートを提出し、さまざまな業界・企業の方々とお話をさせていただきました。そのなかでも、働く職員の雰囲気や使命感、仕事内容を語るときの職員の目の輝きに魅了され、農林中央金庫を選びました。

入庫して気づいたのは、当庫ではその使命と合致してさえいれば、たいていのことには挑戦できるということ。つまり、「自分がやりたいこと」を仕事にできる環境がここにはあります。社会人としていろいろな方々と接するなかで感じたこと、挑戦してみたいことを、同じ使命感を持った仲間や同じ方向を向いているお客様とともに行動に移せる環境があるというのは本当に魅力的な職場だな、とあらためて認識しています。

学生のうちから「自分はどんな仕事がしたいのか」という絵を完璧に描き切ることは難しいかもしれません。しかし、「どんな人と一緒に働きたいか」「どんな人と一緒であればモチベーションを高く維持したまま働けるか」「どんな人と一緒であれば等身大の自分でいられるか」については、これまでの経験からある程度、わかるのではないかと思います。こうした観点も加えて多くの企業の方とお会いいただくと、進むべき道が見えてくるかもしれません。その先に、農林中央金庫があれば、これほどうれしいことはないですね。

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