FOOD&AGRI BUSINESS
住田 実紀
MIKI SUMIDA
岡山支店
2018年入庫/経済学部卒
PROFILE
地元で勤務しながらも他の地域や海外とのつながりを感じられるという理由から岡山支店の支店総合職に応募。窓口業務班と事務資金班(いずれも現・コーポレートサービス班)を経て、2020年に営業第一班へ。公庫受託融資のフロント担当者として、経営状況不安に陥った個人農家などへの資金提供に力を尽くす。2021年より営業第三班(現・営業サポート班)に異動し、公庫受託融資の事務を担っている。趣味は旅行と映画鑑賞。
姉が金融機関に勤めていたこと、また私自身も経済学部だったことから、漠然と金融業界を志望していました。そのなかで農林中央金庫に興味を持ったのは、金庫固有の使命を知ったことがきっかけでした。農林中央金庫に出会うまでは、「第一次産業を金融面から支える」という発想自体がなかったのですが、この使命や目標の大きさを知った時、私のなかの志と響きあうものを感じたのです。
農業とは縁もゆかりもない生活を送っていたため、不安に感じる部分はありました。ですが、それをはるかに上回るだけの意義を見出せていましたし、先輩職員のなかにも農業とは無縁のところから入庫して、知識を積み上げてきた人がいるということが安心材料となりました。さらに面談を通じて先輩方の人柄に触れ、想像していた銀行員とはちがう穏やかな印象を受けたことで、農林中央金庫への志望度が高まりました。
生まれも育ちも大学も岡山ですし、地元で働くことしか想定していませんでした。そうは言っても、接点を持てる範囲が県内に限定されてしまうような職場では物足りないという思いもあって、導き出された結論が農林中央金庫の支店総合職でした。支店総合職であれば、岡山に居ながらも他の地域や海外とのつながりが感じられ、視野を広げることができるだろう、と。
事実、入庫1年目には東京で総合職と合同の研修を受ける機会が何度もあり、良い刺激を受けながら同期とのつながりを構築できました。実務においてもフロントの営業と事務まわりの仕事の双方を経験し、両利きの視点を活かした貢献ができるため非常に充実しています。
最初に配属されたのは現在のコーポレートサービス班で、為替や預金の振込処理業務を約半年、その後にプロパー融資の貸出計算などを1年半ほど経験し、金融機関で働くうえでの基礎知識を身につけました。次いで3年目からは営業第一班の所属となり、フロントの営業担当者として公庫受託融資に携わりました。
公庫受託融資とは、日本政策金融公庫からの委託を受けて行っている融資を指します。農林中央金庫からお金を貸し出すプロパー融資は、貸出先が大手企業や農業法人などであるのに対し、公庫受託融資の貸出先は個人経営の農林水産業者や小規模企業であるのが特徴です。県内で家業を営むさまざまなお客様に相対し、経営改善のために必要な長期資金の融資や、施設の拡充・新規就農のための融資など、幅広い資金ニーズにお応えしていました。
自然と気候に恵まれた岡山県では、特産品の桃やぶどうをはじめ多様な農産物が栽培されているのですが、私の場合は肉牛を肥育する農家さんの相談に対応する機会が多かったように思います。子牛を買って肉牛に育てる農家さんへの融資は、足元の決算状況に加え、この先10年間ほどの収支計画を見て判断することが必要となります。しかし、個人農家さんは経営に不慣れなケースが少なくありませんので、いちから丁寧にご説明を行い、収支計画の策定をサポートしていました。
当時は新型コロナウウイルスの蔓延により、資金繰りに窮する農家さんや個人事業主が増えだした時期。それぞれのお客様にどんな方針で対応していくか、日本政策金融公庫や関係機関の方々と絶えず連携を取りながら、最適な支援方法を模索する日々でした。赤字状態のお客様に融資をすることで何年後に黒字になるか、といった見通しを立てるのも難度の高い作業でした。悪戦苦闘の連続で、支店の先輩や日本政策金融公庫のベテラン職員の方からのアドバイスに助けられた経験は一度や二度ではありませんが、それでもなんとかお客様の力になりたい、と励んでいたのを思い出します。
フロントの営業担当に続いて事務担当となり、公庫受託融資の借入申込から債権管理に至るまでの事務処理を担っています。そのほか、住宅金融支援機構から受託している住宅ローンの債権管理にも携わっています。
メインとなる公庫受託融資は、農林中央金庫の決裁と日本政策金融公庫の決裁を経て融資実行に至る流れとなっているため、金庫と日本政策金融公庫、双方の手続きを踏まえたうえで、抜け漏れがないよう細心の注意を払いながら必要書類の作成・チェックをしています。融資を実行した後は償還確認をするとともに、返済に苦しむお客様がいた場合には、フロント担当者と協力し条件変更にも対応しています。
融資業務は、フロント担当者と事務担当者の確実な連携なくして成り立ちません。今はDX化の推進により、PCのチャット機能などを利用した非対面でのコミュニケーションが可能となっているものの、それだけでは意思疎通が不十分に感じる場面もありますので、フロント担当者とは定期的に対面での打ち合わせを行い、連携に齟齬が生じないよう努めています。
おっしゃる通りです。働き方といえば、金庫全体で働き方改革が促進されるなか、公庫受託融資では現在、フロント担当者と事務を担当する私たち営業サポート班で、業務分担の再構築と連携のさらなる強化に向けた話し合いを進めています。
フロント担当者は岡山県全域を活動エリアとしている関係で、往復の車移動に時間を取られてしまい、オフィスでの仕事時間に制約が起きがちでした。そこで両者の業務分担をあらためて見直し、審査書類の作成準備など、これまでフロント担当者が行っていた業務の一部を営業サポート班が引き受けることにより、フロント担当者の負担軽減を目指していきたいと考えています。
加えて私個人は、国内支店事務効率化プロジェクトチームの公庫受託ワーキンググループに参画し、本店の営業企画部や他の支店職員と事務のスリム化に向けた方策協議も行っています。ペーパーレス化の推進もそうした取り組みの一つとなります。これまでの公庫受託業務は、数多くの書類で管理をし、書面のやりとりも郵送で行うという風に、紙文化が色濃く残る傾向にあったのですが、可能な範囲でこれらをデータでの管理・送付に移行するべく、試行錯誤を重ねている段階です。紙からデータへの転換は、事務の効率化のみならず、お客様対応のスピード化にも資するものと理解しています。
当庫で働く魅力、とりわけ支店で働くことの醍醐味は、第一次産業を身近に感じつつ、その発展に寄与するという使命の一翼を担っている確信が得られるところにあると思います。
今は事務担当のためお客様と直に接する機会は限られますが、フロント担当者との情報共有を通じ、それぞれのお客様がどのような状況にあるかは把握しています。そして経営状況の改善が必要なお客様ならば、どうしたら力になれるかをフロント担当者や関係部署と話し合い、より良い融資のあり方を探っています。「前によく似た案件があったから、参考になるのでは」「あの時はこんな風に融資期間を延ばしました」等、フロント時代も含め、公庫受託融資に長く携わってきた私の助言が役立つ場面は少なくありません。そうして周囲に頼られるのは非常にうれしく励みになります。
一方で第一次産業の現場は重労働です。短い期間ではありますが、私も入庫後に農業法人などでの研修を体験し、農作業の大変さを身にしみて感じました。そのような仕事を行いながら、金融機関とやり取りするのは負担が大きいと思いますので、少しでも皆様の助けとなれるよう、できるだけわかりやすい書類を作る。難しい用語があれば説明書きを添える。申込期日が稲刈りなどの忙しい日に重ならないよう日程調整を行う、といった配慮を心がけています。そうして、なるべく農業に専念していただき、何か困ったことがあった時にはすぐにご相談いただけるような関係性の構築を、事務という立場から後押ししていきたいと強く願っています。
私たち支店職員がお客様目線に立ったきめ細かなサポートを実践し、継続してこそ、農林中央金庫の掲げる大きな目標に近づける。そんな想いがモチベーションの源泉ともなっています。
岡山支店には100名以上の職員が在籍し、同世代の人も多いため、気の置けない関係が築きやすく、職場の雰囲気は極めて良いですね。皆それぞれに難しい案件を抱えているとは思うのですが、仕事中に笑みがこぼれるような時もあり、皆が楽しくポジティブに仕事に向き合っている印象です。
また、福利厚生は制度が充実しているだけでなく、実際の利用率も高いと感じます。男女を問わず育休を取得している職員や、育休から復帰して時短勤務をしている職員が多く、お子さんが体調不良等で急にお休みが必要となった場合でも、相互に協力し合いながら業務を遂行しています。コアタイムのないフレックスタイム制度やテレワークを積極的に活用し、柔軟な働き方をしている職員も大勢います。ワークライフバランスを保ちながら、長く働ける環境が整っていることが、会社側・職員側の双方に良い影響を与えているのではないでしょうか。
今後のテーマに据えていることの一つに、後進の育成があります。公庫受託融資はもともと、岡山県信農連と農林中央金庫の統合を契機に、岡山支店が引き継いだ業務でした。引き継ぎ当初は、信農連から転籍したベテラン職員の方々が担っていた部分が大きかったため、その方々が相次いで退職・異動された後は、班内体制を整えることに苦労した覚えがあります。
公庫受託融資の事務は、手引書にも載っていない細かな事務処理や異例処理の過去経緯を理解していないと円滑に対応できないことが多いなど、経験に裏付けられた知識量が求められます。私自身今も業務理解をさらに深める必要性を感じるところではありますが、業務歴がいちばん長い立場となっていますので、これからは人材育成に力を注ぎ、蓄積してきたノウハウを後輩たちに伝承していくことが役割だと思っています。
二つ目としては、残された未経験の領域であるプロパー融資にも携わり、融資のすべてに精通したいという目標を持っています。プロパー融資と公庫受託融資の両方を理解している職員は、支店内でも数名に限られます。それゆえに貴重な戦力として評価されていますので、自分もそこに照準を当て、キャリア形成を図っていきたいと考えています。