環境問題、持続可能な
社会への
意識の高まりを
追い風に、
日本の林業を
復活へと導いていく。

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食農ビジネス

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FOOD&AGRI BUSINESS

及部 夏帆

KAHO OYOBE

営業企画部

2015年入庫/法学部卒

PROFILE

人のため、世間のためになるような職に就きたいと金融機関を志望。なかでも第一次産業に一番近い農林中央金庫なら、広く世間のためとなる仕事ができると確信して入庫。システム企画部(現・IT統括部)に配属され、NIC(農中情報システム)での長期外勤やトレーニーとしてのシンガポール支店勤務を経て、2019年より現職。幼少期をイギリスで過ごしたことから海外旅行が趣味。コロナ禍が収束したら、海外の森林活用法も見聞したいと考えている。

日本の林業の課題解決に向けた2つの取り組み

Q
今はどんなお仕事を
されているのですか?

所属している営業企画部は、食農法人営業本部の統括部署となります。法人営業活動の方針を定め、食農ビジネスを担う各営業担当者をサポートしながら、案件成就に向けて力を合わせて活動していくことを任務としています。

そのなかで私は「森林班」に籍を置いています。主に森林組合向けの融資に関し、先のような仕事を進めつつ、これとは別に日本の林業を盛り立てていくための各種施策の検討にも力を入れています。木材の利用拡大に向けて具体的にどういうことができるのか。これを考え行動に移すこと。これが目下、私の最大の使命でもあります。

Q
日本の林業は今、
どのような課題を
抱えているのですか?

木材需要の低迷、輸入材との競合、高齢化にともなう労働力不足。林業も、農業や漁業と似たような課題を抱えていますが、実はもうひとつ、大きな問題があります。それは人工林の約半分が、主伐期とされる50年を超えているということ。今日の林業の低迷は、循環利用に向けた計画を狂わせ、後世に悪影響を及ぼしかねません。それだけに今は日本の林業の行く末を大きく左右する重要局面にあると言えます。

Q
そうした課題を踏まえ、
どのような取り組みを
進めていますか?

2つあります。1つは『森力(もりぢから)基金』の運営です。年間2億円の資金を用意し、荒廃した民有林に対して持続可能な森林経営ができるような取り組みを複数選び、それぞれ数千万円単位の助成を行っています。選定については公平性を期すため、大学の先生たちで構成される運営委員会に委ねていますが、ICTを活用した「スマート林業」の普及にも一役買っています。

もう1つは、『ウッドソリューション・ネットワーク』の運営です。こちらは川上から川下までの木材関連企業約30社、それに東京大学と当庫を加えて構成される「産・学・金連携のプラットフォーム」で、木材利用拡大に向けて何ができるか皆で知恵を出し合いながら、ソリューションとして提供していくことを目指しています。現在は木材利用のメリットについて、多くの人に知ってもらおうと皆で一致団結して情報発信しています。

協同組合に根ざす金融機関だからこそ思い描ける構想

Q
先の2つの取り組みですが、
担当として力を
注いでいるのは、
どんなことですか?

どちらも私の役目は事務局、つまり裏方仕事となりますが、ここでどれだけの知見を蓄え、リレーションを構築できるかで、これからの企画内容、活動内容も大きく変わると考えています。そこで『森力基金』については、実際に助成先の森林組合を訪問して、施業地である山林に分け入り自分の目で見て、組合の人たちの話を自分の耳で聞いて、今後の企画、実行へとつなげていくことを強く意識しています。

成果を上げている取り組みについては、全国の森林組合に情報提供することで、参考にしてもらうようにしています。一方で、顕在化している課題については、社内に持ち帰って検討するだけでなく、『ウッドソリューション・ネットワーク』にも持ち込んで、会員各社が所有する専門的な知識や技術を拝借しながらその解決策を探り、知見として、あるいは具体的なソリューションとして、提供するようにしています。

Q
『ウッドソリューション・
ネットワーク』では、
どんなことに
注力していますか?

こちらでは川上から川下までをしっかりとつなぐ、人と人とをしっかりとつなぐ。このことに力を入れています。それというのも川上を担う林家さんのなかにも、経営体によって黒字のところもあれば赤字のところもあります。要因はさまざまあるにせよ、ひとつ共通して言えることは、黒字の経営体というのは川中・川下企業に伝手があるということ。そこで私としても林家さん、その集合体である森林組合と、川中・川下企業とをしっかりとつなぐことで、林家さんの所得向上を図り、林業の盛り返しを図っていきたいと考えています。

ただ、このことばかりに終始していては、ゆくゆくは森林組合同士のパイの奪い合いとなってしまいます。私たち農林中央金庫が考えるべきは、そのパイ自体を大きくすること、つまり市場の拡大です。『ウッドソリューション・ネットワーク』を立ち上げた真意も、実はここにあります。皆の力を結集して、業界全体を盛り上げていきたい。

折しも、SDGsの浸透による環境問題への意識の高まり、ESGに向けた企業の行動の変化、カーボンニュートラルを目指す政府の取り組みなどによって、日本の林業、木材・森林に対する期待は、かつてないほどに高まっています。こうした追い風が吹くなかで、それをいかに林業の課題解決へとつないで、持続可能な社会を実現していくか。当庫の森林部門の手腕が試されていると、その一員として強く自覚しています。

Q
何やら話が
大きくなってきました。

はい。視座を高く、視野を広く。大きな構想を描きながら、地道に愚直にひとつずつ成果を積み上げていってこその農林中央金庫だと思っています。私たちは株式会社ではありません。相互扶助の精神のもとに第一次産業従事者の生活を守り高め、よりよい社会を築くことを目的に組織された、協同組合に根ざす金融機関です。だからこそ目指すべきは、売り手よし、買い手よし、世間よしの「三方よし」。皆にとっての「いいね」を追求し、その収益を第一次産業に還元しながら、世間のためになるような仕事をしていくことが使命であり、やりがいです。これは私が当庫に入庫した、最大の理由でもあります。

Q
農林中央金庫だからこそ
できる仕事であり魅力、
というわけですね?

そのとおりです。そもそも他の金融機関で森林に特化しているような業務はないと思います。私も現場に行くたびに、「大木をこうして見上げながら、日本の林業の行く末を考えている銀行員は、当庫の職員くらいだろうな」って思いますし、自ずと仕事に対するモチベーションも上がります。

自分が媒介となって、企業のニーズと林業のニーズをつなぐ

Q
これから、どんなことに
取り組みたいと
考えていますか?

実は私は「森林班」の仕事のほかに、「総括班」の仕事も兼務しています。具体的には、サステナブルファイナンスについて担当しており、その商品設計などを実施しているところです。昨今、サステナビリティに対する世の中の動きが活発化するなかで、当庫の取引先についても多くの企業がESGに向けた取り組みを強化しています。

それだけに各営業担当者も、金融面でのサポートはさりながら、非金融面でのサポートについてもできることがないか、取引先と対話を重ねながら提供できるソリューションを検討しています。私たちとしては、そういった取り組みを進める営業担当者たちをサポートすべく、商品の設計や提案資料の作成、取引先からの照会対応などを実施しているわけですが、個人的にはここがひとつ、大きなポイントになると考えています。

Q
話が見えてきました。

そうです(笑)。私が媒介となって、企業のニーズと林業のニーズをつなげていくということですね。金融面ではサステナビリティ・リンク・ローンやグリーンローンなどを提供できますし、非金融面ではビジネスマッチングなどを提供できます。

当庫の取引先は大企業も多く、豊富な経営資源と社会的な影響力を持っています。そうした力の一部を森林に振り向けてもらうことで、木材利用の拡大、ひいては林業や山村の活性化を通じた治山、治水、カーボンニュートラルの実現を目指していきたい。

Q
まさに「三方よし」の
実現ですね?

もちろん、そう簡単に事が運ぶとは思っていません。それでも一つひとつ実績を積み上げていくことで認知度を高め、世間の耳目を少しずつでも森林に集めることによって、その利活用について皆で考えていく気運を高めていけたらと思っています。国土の3分の2を占め、南北に細長いことから多様な樹木が育つ日本の森林は、持続可能な社会を考えるヒントがたくさん眠る、まさに宝の山だと思えてならないからです。

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