農林水産業の多面的機能が
理解される社会を目指し、
都市と地方をつなぐ存在となりたい。

職員紹介

PEOPLE JOBS

総合職

リテールビジネス

職員紹介

PEOPLE JOBS

総合職

リテールビジネス

RETAIL BUSINESS

二宮 桃子

MOMOKO NINOMIYA

JAバンク統括部

2016年入庫/農学部卒

PROFILE

地方や農林水産業に貢献ができる仕事がしたいと考え入庫。仙台支店で3年ほど森林組合への貸出業務を、続く札幌支店で2年ほど漁業協同組合への推進業務を担い、2021年より現職。コロナ禍で苦しむ農林水産業者を支援する取り組みにかかる対応を主導した。プライベートでは、テレワークも有効活用し共にフルタイムで働く夫と家事を役割分担。週末は夫と山歩きやスキー等のアウトドアを楽しんでいる。

一生懸命に働く人たちに出会えるから、仕事も続けられる

Q
就職先として農林中央金庫を
選ばれた理由は
何ですか?

長野県で生まれ育って、大学進学のために上京したんですけど、県外に出たことであらためて自分の生まれ育った故郷の魅力を感じました。実家の周辺からは千曲川を挟んだ向こう側に志賀高原の山並みが一望できますし、おやつにはよくりんごを食べていましたね。故郷の魅力というのはそんな美しい風景や、地域ならではの食べ物に象徴される風土などに起因すると、上京したことで気がついたんです。

それで就職活動においては、地方や農林水産業に貢献できるような仕事がしたい、富裕層をさらに豊かにするような仕事ではなくて、地方にきちんと還元できるような仕事がしたいという思いが、つねに根底にありました。なので、東京に残って国家公務員、あるいは地元に帰って地方公務員、といった道も考えました。

最終的に入庫を決めたのは、日本の農林水産業を支えるという使命と、金融機関として農林水産業に幅広い関わり方ができるという点に魅力を感じたことが理由でした。

Q
入庫後は、どのような仕事を
されてきたのですか?

最初に配属されたのは仙台支店でした。東日本大震災の復興支援に携わりたいという気持ちもありましたし、個人的には暑いところが苦手なので、北海道・東北地区で希望を出し、そのとおりの配属となりました。

ここでは主に森林組合向けの貸出業務に従事しました。いろいろと思い出深い出来事がありましたが、なかでも「農中森力(もりぢから)基金」への応募後押しは印象に残っていますね。農中森力基金というのは当庫が外部につくった基金で、荒廃林の再生を目指した優れた取り組みに対し助成するというものです。助成対象となるためには専門家による書類審査・現地審査を勝ち抜く必要があります。当然、その申請については専門的な知識も盛り込みながら、その有用性をアピールする必要があるので、私は行政をはじめとする関係機関の方々を巻き込みながら、できる限りのサポートをし、当の組合も諦めることなく取り組んだ結果、2年越しで晴れて助成対象に選ばれました。

森林組合の事業というのは「植樹」と「伐採」の2つに大別できるのですが、この組合は、植樹事業を得意としてきた一方、伐採の経験が少なく、体制も不十分でした。しかし、助成事業へのチャレンジを通じ、伐採のためのソフト・ハード両面のノウハウを習得できたことで、当組合の木材生産体制の構築や作業効率の向上につながりました。伐期を迎えている地域の森林資源をきちんと活用していくことができるようになったのです。「この事業に挑戦してよかったよ」とこの組合からは大変感謝され、私が異動する際には盛大な送別会まで開いてもらい、交流は今も続いています。ここで「いろいろな人を巻き込みながら皆で力を合わせて仕事をする」、そういう当庫らしい仕事の仕方を身をもって学べたことは、それ以降の業務にも活きました。

Q
その後は、
どのような仕事を?

札幌支店に移り、今度は漁協推進業務に従事しました。北海道には約70の漁協があるのですが、そのほとんどが私たちの守備範囲で、JFマリンバンクとして各漁協の事業を推進するためのサポートをすべく、道内各地へたくさん出張しました。漁協に出向いて事務指導をしたり、支店の営業担当者とペアを組んで経営支援のためのビジネスマッチングをしたり、道全体の信用事業のあり方・ビジョンについて信漁連と議論したり。

北海道の漁業のスケールの大きさには何度も圧倒されました。何と表現したらよいかわからないのですが、本当にここで自然と格闘しながら生活を営んでいる人たちがいる、というのはそれだけで感動的でした。一方で、ホタテが死滅する、サンマの群れがやってこない、サケの記録的大不漁が続く……といった形で、自然環境の変化に大きな影響を受ける漁業の難しさとも目の当たりにしました。コロナ禍での魚価低迷も深刻でしたね。北海道の水産業にとって非常に厳しい状況が続いていたと思うのですが、現実を直視し、前に進もうとする漁協の人たちに、私は何度も勇気づけられました。

ある漁協では、当庫を退職して漁業の世界に身を投じた先輩にも出会いました。その先輩は漁協の役職員として所属する漁協を盛り立てるために、地元仲買人の人たちが減るなかで自ら販路を拡大しようと奮闘していました。当庫においては視座を高く、大きな枠組みのなかで物事を考えていく構想力が求められますが、それを実現していくには足元の一つひとつのビジネスを成立させていく以外に道はないのだということを、私はその先輩の後ろ姿から学びました。

林業にしても漁業にしても、そして農業にしても、自然相手ゆえに人智の及ばない問題もたくさんありますが、それでも情熱を失わずに一生懸命に働いている人たちがいる。私はそういう人たちと出会えるから、仕事が続けられるのかなと、そんなふうに思っています。

コロナ禍で影響を受けた農林水産業者への助成を実施

Q
今はどんな仕事を
されているのですか?

札幌支店の次に現部署へと異動となりました。所属するJAバンク統括部はリテール事業本部の総括部署として、JAバンク部門の方針・事業計画・機構・要員・経費予算といった総括業務や、JAバンクシステムの戦略総括、JAバンク部門にかかる諸会議運営を行う部署となります。リテール事業本部の各部がバラバラに動かないよう俯瞰的な目線に立って調整をする、あるいはリテール本部全体がスムーズに動けるよう全体指揮をとる、そんなイメージですね。

なかでも私は、主に本部の経費予算や各部への連絡・報告のとりまとめを担当しています。といっても、コロナ禍での異動だったこともあり、しばらくは、コロナ禍で苦しむ農林水産業者を支援する「新型コロナウイルス感染症特別対策」への対応に追われていました。

Q
それは、どういう内容の
ものですか?

「新型コロナウイルス感染症特別対策」は、コロナ禍で影響を受けた農林水産業者を支えるため、JA・信連が実施する農産物販路拡大や生産費用助成の取組みに対し、当庫が一部を助成する事業となります。突発的な業務ではありましたが、当庫が助成するにあたり、私はJA・信連から提出された申請書類の審査、具体的には助成金額が合っているか、要件に合致しないものが含まれていないか、書類内容に不備がないかなどを確認し、不備があった申請に関する照会対応や、助成金支払のためのデータ整備などを行っていきました。

申請書類の受付から助成金額の確定まで約3か月間しかないなかで、1,100件にものぼる申請書類を見る必要がありました。初めて実施した取り組みということもあり、前例踏襲もできず毎日が手探りでしたし、助成金の入金の時期を遅らせることができないという、大きなプレッシャーを感じていました。それでも結果として、当初予定した時期に全案件の助成金をミスなく系統の皆様向けにお支払いすることができました。支払いが完了した日は、とてもほっとしました。

Q
所定の期間内にミスなく
終えられた要因は
何だったんですか?

派遣職員6人に、先輩職員と私を加えたチーム8人全員で、日々進捗を確認しながら抜け漏れを防ぎ、全員でスケジュールを意識して取り組んだ、まさにチームワークによる成果だと考えています。もっとも、最初はなかなかチーム一丸とはなれませんでした。

それというのも、担当する案件によって、書類の多さや必要な照会の回数等、審査の難易度にかなりの差があり、機械的に担当件数を割り振っただけでは全体の進捗管理がうまくできなかったのです。そのようななかで、「なぜ私の審査するものばかり、こんなに時間がかかるの」といった不満の声も出てきてしまいました。チームの雰囲気もどこかピリピリしていて、全体進捗も遅れ始めたので、私自身とても焦りを感じていました。

このとき私が心がけたのは、積極的にコミュニケーションを取って、全員でスケジュールを合わせて取り組むことでした。このプロジェクトの目的や期日までにお支払いする必要性についてミーティングの場で全員に共有し、チームとして成果をあげるためには、個人がバラバラに作業するのではなく、全員で協力することが必要だと率直に伝え、理解してもらいました。また、私自身は今日それぞれが何をすべきかをできるだけ具体的に指示することをつねに意識しながら、その日その日の目標を達成することに集中しました。

Q
まさにチームマネジメントが
カギを握って
いたんですね?

はい。当事業に関わったことによって、リーダーとしてスケジュールを逆算し、いつまでに何をやるか、誰にその仕事を割り振るかといった線表を自ら引いて、一連のプロジェクトを最初から最後まで主導することができたことは、自分のキャリアにおいても非常に貴重な経験となりました。当事業は今回限りのものですが、ここで学んだことは、今後さまざまな業務で生かせるものだと思います。また、助成申請書類には各地のJA・JFが生産者のためのさまざまな取り組みを行っていることが書かれていたことから、信用事業の外側にあるJA・JFの多様な取り組みについても知るよい機会となりました。

最終的に役員や支店の人たち、そして何より各組合の人たちから、「金庫のおかげで生産者の支援ができた」とか「これほど幅広い案件かつ膨大な件数を審査するのは大変だったと思うが丁寧に進めていただいてありがたかった」と声をかけてもらったときは、裏方として頑張ってよかった、乗り切れてよかったという達成感を、チーム全員で分かち合うことができました。

さまざまな人たちとの仕事を、ビジネスとして形にできる

Q
今後、どのような取り組みを
進めていきたいと
考えていますか?

実は今回の事業は、JAバンクの今後の事業方針の行方を占う試金石でもありました。これまでJAバンクは全国で統一の目標を設定し、それを目指し一致団結して取り組んできました。しかし、農業の現場や地域の暮らしがますます多様化するなかで、地域に寄り添い、地域に特化するJAバンクとなるためには、トップダウンではなくボトムアップ型の組織にならなくてはいけないと私たちは考えています。各県域、各JAで目標を設定してもらい、それを当庫がいろいろなツールやプログラムで支援し、各エリアで地域活性化を図っていくことが、よりいっそう必要であるということです。

今回の申請書類の審査を通じて私が感じたのは、「これは当庫だけでは思いつかなかったな」という企画がたくさんあったこと。県域や各JAのやりたいことに沿っていくことと、全国機関としての当庫の負荷のバランス、その最適解については、これからもずっと悩んでいくのだろうし、私たちがやらなければいけない仕事だと自覚しています。少なくとも1,100件にものぼる申請書類には、そのヒントが隠されているように思いますので、私も時間を見つけてもう一度、精査しつつ、JAバンクのあるべき姿、JAバンクを通じて地方や地域を元気にするには何をしていったらいいのかを、これからも絶えず考え続けていきたいと思っています。

Q
今後のキャリアプランに
ついては、どのように
考えていますか?

シンプルではありますが、私は農林水産業の持続的な成長に貢献したいと思っています。地元の食べ物や美しい自然、その景観が大好きなので、それを守っていきたいし、農林水産業の多面的機能が理解されるような社会にしていきたい。とくに今は、そうした機運が社会的にも高まり始めている時期だけに、個人としては都市と地方をつなぐ役割を果たしていきたい。自分の性分としても、オフィスにこもって仕事をするのはあまり好きではないので、現場にどんどん入り込んで、課題を改善していけたらと考えています。

キャリアの面では、これからライフイベントなどで中断をはさんだとしても、実現したいことを忘れずに働き続けられたらと思っています。ライフイベントについては計画的に考えようとするあまり、かえって不安に陥る人も見受けられますが、私自身は意識的に考えないようにしています。そういうタイミングになったら、そのとき考える。それまでは、やれることをやる。その結果として、こういうキャリアもありかなと思ってもらえるような存在になれたらと思っています。

Q
ご自身は、農林中央金庫で
働く魅力をどんな点に
見いだしていますか?

ひとつには、「農林水産業のために」という使命、存在意義がはっきりしているところですね。誰のために仕事をしなければいけないのかというのが明確なので、第一次産業の発展であったり、食の量や質の確保であったり、地域活性化であったりを、JA・JF・森林組合や行政、企業、大学、ベンチャーなど、さまざまな人たちとともに目指していけること、それをビジネスとして形にしていけることが魅力だと思っています。

もうひとつは、年齢・性別にかかわらず若いうちから仕事を任せてもらえること。結果として、つねに自分の成長を感じたり、自分で仕事を動かしているという実感がともなったりするので、「もっとよい仕事をしよう」「もっと大きな仕事をしよう」というステップにつながります。こうして自分で種蒔きして翌年刈り取るみたいなことを繰り返せるから、他の誰でもない自分だからできる仕事も生み出せるようになるのだと考えています。

この2つは今後の私にとっても、働く大きなモチベーションとなっていくはずです。

PEOPLE & JOBS

PREV

INDEX

NEXT