大学時代は基礎物理学専攻で素粒子に関わる研究に取り組み、修士論文としてまとめました。その内容は宇宙の始まりの数秒間ほどを解き明かすというロマンのある研究で、自分にとって夢中になれた貴重な経験でした。しかし、そのまま研究者の道に進み、さらに研究を突き詰めるのは自分には向いていないと思い、就職活動を行うことに。そして理系の素養を活かせる仕事がしたいと思っていたところ、「金融機関には基礎物理研究を経て活躍している人がいる」と聞き、にわかに興味が湧きました。それまでは金融機関についての知識はゼロだったのですが(苦笑)。
企業研究を行う中で農林中央金庫に注目したのは、莫大な運用資産があるがゆえに、リスク管理の堅実性が求められ、その領域に理系の素養が大いに活かされそうだと思ったからです。また、様々な金融機関の説明会に参加しましたが、一番ピンときたのが農林中央金庫だったというのもあります。私は周囲を田畑に囲まれた田舎育ち。一番近い金融機関がJAだったこともあり、その系統金融機関である農林中央金庫にはすぐに親しみを覚え、また、“第一産業のために”というポリシーにも自然に共感できたからです。さらに選考過程で多忙な先輩職員たちが時間を割いて、何も知らない私に対して、農林中央金庫の事業やその業務内容について丁寧に説明してくださったのにも好感を持ちました。
入庫後、市場業務管理部に配属。主に有価証券決済システムにおける事務・系統サポートを担当し、事務の基本を学ぶとともに、系統組織の中での農林中央金庫の位置付けを把握することができました。市場業務管理部は、JA・信連(信用農業協同組合連合会)さんからの照会窓口でもあります。有価証券決済システムについての勉強会を実施することもあり、その中で、系統組織に関わる業務も興味深いなと思うように。というのも、JA・信連さんが、「こうシステムを変更していくべきでは?」「本来はこうあるべきなのでは?」などと有益な示唆を与えてくれることが多々あり、農林中央金庫はJA・信連さんがいてこそ、あるべき道へ進めると思えたからです。そこで系統組織に関わる部署に異動したいと申し出ると、希望通り、3年目に支店の系統貸出を所管する農林水産環境統括部への配属が実現しました。